「メディカルダイエット」「やせ薬」のキーワードに注意
――なるほど、それはいい方法ですね。ところで、オンライン診療の場合は、あとから契約を解約したいと思っても特定商取引法のクーリング・オフや取り消しに該当しないとリポートにあります。何かほかの方法で解約を求めることはできないのでしょうか。
横山さん 消費者契約法の不当行為である「不安をあおる告知」によって契約を取り消すことはできます。医師が、消費者が抱いている容姿や体型に対する過大な不安を知っており、「痩せるには糖尿病の治療薬が一番よい」と不安に付け込んで不利益になる契約を結んだとすれば、取り消すことが可能です。
これを立証することがなかなか難しいですが、消費者センターに相談するとよいでしょう。
もう1つ、副作用などで健康を損ねた場合は、都道府県や保健所のある地方自治体に設置されている「医療安全支援センター」に相談するといいでしょう。医療に関する苦情や心配、相談に対応するとともに、医療機関に助言も行っています。
――事例をみると、SNSなどで「ダイエット」の検索をしたら「オンライン診療」の広告を見たというきっかけが多いですね。このパターンは、よく「副業」を検索したら、怪しげな投資詐欺サイト広告にひっかかったというケースなどと共通しています。
そもそもですが、この最初の広告を見た段階から身を守る方法はありませんか。
横山さん もちろん、「オンライン診療」そのものが悪いわけではありませんが、問題になる広告は「メディカルダイエット」とか「やせ薬」といったキーワードを入れると、ヒットすることが多いようです。
そこで、診療を申し込む前に丹念にサイトを調べることをおススメします。どういう診療内容か、どういう薬が出るのか、定期購入の解約条件は何か、問い合わせ先が掲載されているか、などを事前にしっかりチェックしましょう。
国民生活センターが2020年9月に最初に「ダイエット目的のオンライン診療」の警告リポートを発表した時は、糖尿病治療薬を「自己注射」させる方法が中心でした。その後、簡単に服用できる経口薬が出てきて、「オンライン診療」による相談件数がどんどん増えています。
私たち国民生活センターも、日本糖尿病学会も、みなさんの健康を心配しています。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)