糖尿病学会が「専門医に対する国民の信頼を損ねる」と警告
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当した国民生活センター相談情報部の横山彩香(よこやま・さやか)さんの話を聞いた。
――事例を見ると、かなり悪質な医師たちですね。悪徳業者と組んで、医師のモラルに反した行動をとっているとしか思えません。医師の団体では問題にしていないのでしょうか。
横山彩香さん 国民生活センターでは、こうした事例を日本医師会や日本糖尿病学会などと情報共有をしております。しかし、弁護士会への所属が義務付けられている弁護士と違って、医師は医師会に加入しなくてもよいため、日本医師会では、加入している医師かどうかわからず、具体的な改善策の対応が難しいという立場です。
しかし、日本糖尿病学会ではこうした医師の存在を注視しています。ダイエット目的のオンライン診療で、大量の糖尿病治療薬が処方されていることが原因かどうかは不明ですが、現在、糖尿病治療薬の「GLP‐1受容体作動薬」の在庫がひっ迫している状態です。そのため、日本糖尿病学会は今年(2023年)11月28日、この問題に関する「見解」を発表しました。
そして、「GLP‐1受容体作動薬などを適応外使用である美容・痩身・ダイエットを目的として、処方を宣伝する医療広告が散見される」「本学会員は、不適切な薬物療法によって患者さんの健康を脅かす危険を常に念頭に置き、適切な処方を行ってほしい」「不適切な薬剤推奨は、糖尿病専門医に対する国民の信頼を損ねるもので、本学会として認められるものではない」と警告したのです。
――こういう悪質な医師からだまされないようにするにはどうしたらいいのでしょう。リポートでは「治療内容や処方薬、副作用の有無など、医師の説明をしっかり聞きましょう」とアドバイスしていますが、向こうは医療のプロ、こちらはシロウトです。
現実問題として、事例のように、医師から丁寧な説明がないうえ、あとから副作用が出て、しかも医師と連絡がとれなくなるありさまです。オンライン診療で強引に薬を勧められたら、シロウトには従うしかないのでないでしょうか。
横山さん 確かにそういう面はあります。医師と話をしていて、どうも自分が思っている回答ではない、自分が現在飲んでいる薬との飲み合わせとか、不安に思っていることを聞いてもしっかり説明してくれない、相手に不安を感じる。そんな場合は「セカンドオピニオンを聞きたい」とか言って、そこで、オンライン診療を打ち切ってしまうのも方法だと思います。