来年終わり頃、やっとプラスに転じるが、0%ギリギリ
――それにもかかわらず、仮に来春3.8%増という高い水準の賃上げが成功しても、実質賃金のマイナスが続くのはなぜですか。
河田さん 【図表】のように、来年(2024年)の春闘時期(3~6月期)の物価上昇率(生鮮食品を除いたコアCPI=消費者物価指数)は2%台後半と予想しています。仮に3.8%増の賃上げ率(ベア+定期昇給)が実現できたとしても、定期昇給が1.8%増前後の見込みですから、ベアは2.0%~2.2%前後となり、2%台後半で推移する物価高には到底追いつきません。
ベアが3%前後にでもなれば、実質賃銀がプラスになりますが、それには5%前後の賃上げ率を実現する必要があります。連合がその水準を要求していますが、過去に労働組合の要求通りになってケースはほとんどありません。
ただ、夏になると少しずつ賃上げ効果が表れてきます。同時に物価も落ち着いてきますから、ようやく来年の10~12月期に実質賃銀がプラスに転じると予測しています。しかし、0%を少し上回るギリギリになるでしょう。
現在、労働組合と経営者側との間で、賃上げムードの醸成が高まっているので、大いに議論が深まることを期待しています。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)