居酒屋が「5000円飲み放題」を設定する理由
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当した帝国データバンク情報統括部の飯島大介さんに話を聞いた。
――政府・与党は、経費扱いとして非課税にできる「1人あたり5000円以下」の飲食費について、上限を5000円から1万円に引き上げる方針を固めています。これが実現したら、交際費で飲む人がますます増えるでしょうか。
飯島大介さん 消費を拡大する景気対策と思われますが、政府の施策なので、いいとか、悪いとかを言える立場にありません。しかし、飲食業界をはじめ周辺の業界は喜ぶでしょうね。みな、物価高で苦しんでいますから、恵みの雨のような施策です。
たとえば、居酒屋などが「5000円(税込み)飲み放題」といった料金を設定しているのは、非課税にできる交際費の飲食代の上限を意識しているのは間違いありませんから、料金をもっと高く設定するところも増えるでしょう。
――今回の調査を報じたヤフーニュースのコメント欄を見ると、「交際費1万8000円? うちの会社ではこんなに使えない」「融通が利く中小企業の話ではないか。管理が厳しい大企業では、本部長クラス以上でないと、なかなか交際費で飲食なんか難しい」といった意見が目立ちました。
中小企業には、800万円までは交際費を損金算入して法人税負担を減らせる特例がありますよね。やはり、交際費で飲むのは中小企業に多いのでしょうか。
飯島さん そういう見方があることは承知していますが、必ずしも中小企業は多いとは言えないと思います。飲み会(飲食代)に目がいきがちですが、帝国データバンクが調査した「交際費」は、お菓子などの贈答品を含めています。
大企業でも管理職が取引先をもてなす必要があり、お菓子を贈ったりする場合が多いはずです。接待の飲み会のような目立つケースではなく、目立たないところで交際費を使っていると思われます。