東京商工リサーチは2023年12月13日、「忘・新年会に関するアンケート」の調査結果を発表した。今シーズンの忘年会や新年会を「実施する」と答えた企業は55.9%と過半数にのぼっている。
今シーズンは、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に引き下げられて初めての年末年始であり、コロナ禍前の2019年12月~2020年1月以来の「解禁」となる。
立食パーティーで社員が楽しそうに交流
4905社から得た回答の内訳は、「コロナ禍前も実施し、今回も実施する」が最も多く34.96%、「コロナ禍前は実施していなかったが、今回は実施する」が20.96%、「コロナ禍前は実施していたが、今回は実施しない」が18.67%、「コロナ禍前は実施しておらず、今回も実施しない」が25.40%だった。
調査元の東京商工リサーチは、同様の調査結果を11月にも公表しており、リリースのタイトルに「企業の『忘年会離れ』が顕著」と掲げている。
今回の調査結果についても、「4割以上の企業では開催しないことが確実な情勢」とネガティブな側面を強調し、「飲食店や納入業者は、戦略の再考が避けられない」と危機感を煽っている。
しかし、調査結果を「コロナ禍前は実施」で集計すると53.6%となり、コロナ禍を機に忘年会・新年会が減少したという結論は、少なくとも今回のアンケート結果からは導き出すことはできない。
むしろ目を引くのは「コロナ禍前は実施していなかったが、今回は実施する」と回答した企業が20%あまりあった点だ。
この回答をした企業の割合は、前回11月公表の調査結果の18.22%と比較しても増えており、年末に向けて「これまではやってこなかったけど、今回は開催してみようか」という機運が高まっている現れと見ることもできる。
東京都内の上場企業の総務部で働くAさんによると、勤め先のIT企業はコロナ禍前に実施していなかった忘年会を実施するという。きっかけはこの春にオフィスを増床した際のお披露目会が、ことのほか好評だったからだ。
「コロナ明けに出社を希望する人が増えるのを見越して、オフィスを増床したのですが、完成祝いに内々の立食パーティーを開いたところ、普段Slackでしか話したことのない人たちと直接会えるということで、社員がとても楽しそうに交流していたのが印象的でした。その経験もあってか、秋ごろから『クリスマス会を兼ねた忘年会をやろうよ』という要望が多く寄せられ、社長も業務時間中に、会社の費用で簡単なパーティーを開催することを了承してくれたんです」