有働由美子アナウンサー(54)が、メインキャスターを務める「news zero」(日本テレビ系)を降板する。2023年12月14日、番組放送中に本人が発表した。
有働アナはNHK出身。紅白歌合戦の司会を務めたほか、同局を退職する前は「あさイチ」に出演し、2018年10月から、「news zero」のメインキャスターとして活躍してきた。同じように「元NHKアナ」が退局後、民放に転じるケースは少なくない。その「起源」は、いつだろうか。
1980年代にさかのぼると
最近で同様の例としては、武田真一アナ(56)だ。NHKで「クローズアップ現代+」を担当し、紅白歌合戦の総合司会にも起用された。2023年の退局を機にフリーアナウンサーとして、現在は朝の情報番組「DayDay.」(日本テレビ系)のメインキャスターを務めている。
有働アナや武田アナの「大先輩」――元NHKアナが民放で活躍し始めた最初は、草野仁アナ(79)ではないかと指摘するのは、メディアエンターテインメントを研究する同志社女子大学の影山貴彦教授だ。
草野アナは1985年にNHKを退局。86年からは「世界 ふしぎ発見!」(TBS系)での司会をはじめ、日本テレビ系の情報番組「ザ・ワイド」(1993年~2007年)のメインキャスターといった司会業で活躍をみせる。
他に、影山氏は森本毅郎アナウンサー(84)と大塚範一アナウンサー(75)、さらに、堀尾正明アナウンサー(68)の名前も挙げる。
森本アナは、草野アナが退局する前年の84年に退局したあと、90年に放送を開始した「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ)を、30年以上にわたって現在もメインキャスターを務めている。1989年スタートの長寿番組「噂の!東京マガジン」(現在はBS-TBSで放送)でも、番組の顔となっている。
大塚アナは94年に退局し、同年から2012年まで「めざましテレビ」(フジテレビ系)のメインキャスターを務めた(病気療養期間を含む)。また、堀尾アナは08年に退局後、10年から17年まで「Nスタ」(TBS系)のメインキャスターを務めた。
視聴者ニーズにこたえる「手堅いアナウンス力」
NHKの第1線で活躍したアナウンサーは、民放の番組にメインキャスターとして迎え入れられることが多いようだ。影山氏は、起用する側のテレビ局が「元NHKというブランドが視聴者に好まれる」と判断した上で番組に据えていると指摘する。
「NHKのアナウンサーが備えている手堅いアナウンス力こそが、視聴者の求めているものだからです。また、民放のアナウンサーよりも我を出さない傾向が強いとも考えられますので、『出しゃばりすぎず、番組を進行する』という点も視聴者好みと言えるでしょう」
一方、影山氏はこんな指摘もした。
「民放には民放の、良い意味での自由さがありますから、このトレンドが今後も強まっていくのであれば、それは視聴者がテレビ放送に対して保守的になっていっていると示すことになるのではないでしょうか」
(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)