就活生最大の悩み「自己分析」の進め方 専門家がアドバイス「身近な人に、自分がどう見えるか聞こう」

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   2024年卒の大学生が就職活動中に最も苦労したことを聞くと、「自己分析」だということが、リクルートの就職・採用関連の研究機関「就職みらい研究所」が2023年12月12日に発表した「就職プロセス調査(2024年卒) 2023年12月1日時点 内定状況」で明らかになった。

   2025年卒の大学生の就職活動はスタートを切っている。「自己分析」をどう取り組んだらよいか。同研究所所長の栗田貴祥さんにアドバイスを聞いた。

  • 自己分析動画の提出でも苦労した(写真はイメージ)
    自己分析動画の提出でも苦労した(写真はイメージ)
  • 栗田貴祥・リクルート就職みらい研究所所長(本人提供)
    栗田貴祥・リクルート就職みらい研究所所長(本人提供)
  • 自己分析動画の提出でも苦労した(写真はイメージ)
  • 栗田貴祥・リクルート就職みらい研究所所長(本人提供)

自分で撮影した「自己分析動画」が求められる

   就職みらい研究所の調査(2023年12月1日~4日)は、2024年卒予定の大学生1063人と大学院生355人が対象。12月1日時点の就職内定率は95.1%、進路確定率は92.2%と、ほぼゴール間近状態だ。

   そこで、就活生たちに就職活動を振り返り、「最も苦労したこと」聞くと(複数回答可)、「自己分析」(53.5%)が、「エントリーシートなど書類の提出」(52.5%)、「面接を受ける」(51.4%)などを上回り、トップだった。

   「自己分析」とは、自分の特徴や長所・短所、価値観を把握・分析して、自分の「強み」を見いだすことだ。事前に提出するエントリーシートに書き込む必要があるし、近年は「自己分析動画」を作成して転出を求められることも増えた。もちろん、面接でも必ず聞かれる。

   だから、大学生にとって自分自身を深堀する作業は、「就活の第一歩」とも言える難問といえる。

   調査リポートのフリー回答欄には、「自己分析」に関してこんな悩みが寄せられた。

「就活サイトの簡単な自己分析ツールを使ってみて、あまりその結果が自分に合っていると思えなかった。また、自分に向いているとされた仕事は、募集人数が少なく、その仕事を志望すべきか、さほど自分に合ってなくても募集人数が多くて採用されやすい職種を狙うべきか、迷ったりした」(文系女性)
「特に自己分析で苦労しました。自分のことをよく知らないまま就職活動を進めてしまっていたので、時間をとって自分を見つめ直す時間を作りました。紙にも書いて整理することで、自分の強みや弱みなど分析することができ、それらを面接時に生かせることができました」(文系男性)
「自己分析をしてから、その内容を企業ごとに適した表現に書き分けることや、文章に落とし込み、内容をチェックすることに苦労した」(理系男性)

といった案配だ。

大学入試と違い、就活は正解が見つけにくい

   自己分析をどう進めたらよいのか。J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を実施したリクルート就職みらい研究所の栗田貴祥所長に話を聞いた。

――2024年卒の「就職活動で苦労したこと」のコメントを読んで、全体的にどんな印象を持たれたでしょうか。

栗田貴祥さん 本調査の就職活動で最も苦労したこと(単一回答・上位6項目)でも挙げられている、1位の「面接を受ける(対面)」18.2%、2位の「自己分析」18.0%、3位の「エントリーシートなどの書類提出」16.9%は、いつの時代も普遍的に上位に上がるのですが、これらの項目で学生の皆さんが苦労していることが分かります。

就職活動という人生で初めての経験で、大学入試のような目安や基準などがないなかで、「どこまでやればよいのか?」「何が正解なのか?」「自分らしい内容になっているのか?」などの観点で苦労される学生が多いのだと思います。

――「自己分析」で悩む学生が多いことが、私のような昭和世代には不思議です。もう少し、ほかの重大なこと、たとえば、自分が本当にやりたい仕事とか、就職したい企業の研究とか、業界研究とか、就職の本質で悩むべきだと思うのですが。

栗田さん もちろん、企業研究や仕事研究はすごく大切です。ただ、多くの情報がたくさんあったとしても、最終的に就職先として選択するのは1社です。いくつかの候補の中から、自分らしい充実した人生を歩めるであろう1社を選ぶためにも、自分らしい選社基準を定める必要があります。

自分らしい選社基準を磨き込んで確立していくために、自分自身を見つめる「自己分析」は非常に重要となるのです。さらに、「自己分析」を深めるためには、「自分を客観的に見つめてみる」ことが大事なポイントになります。今までの生活の中で、なかなかそのような機会がなかったこともあり、どの時代でも、多くの学生の皆さんが悩まれ、苦労することだと思います。

「自分で撮影した動画」求める企業も

――なるほど。ところで、最近は「自分で撮影した動画」まで企業に提出しなくてはならないなんて、就活生は本当に大変ですね。動画の提出の目的や始まった経緯、企業がどの程度重視しているかなどを教えてください。

栗田さん「自分で撮影した動画の提出」は、最近出てきた新しい選考手法になります。オンラインでの就職活動が本格的に始まった、コロナ禍以降に出てきた印象があります。動画の提出の目的は、企業ごとで違うと思われますが、エントリーシートと合わせて提出する場合や、エントリーシートの代わりに提出する場合などもあります。

企業が、動画提出を採用する理由としては、動画から見える、その学生の話しぶりや人柄、雰囲気など、エントリーシートなどの書類だけでは見えない情報から、企業側が応募学生のことをより理解するために活用しているのではないかと思われます。

ただ、学生にとっては、撮影環境の準備など負担に感じられている部分も多々あるようです。

――栗田さんは、リポートで「自己分析は客観的な視点も含めて行なうことが自己理解を深める一手になります」と書かれています。客観的な視点も含めるには、具体的にどうすればよいのでしょうか。2025年卒の学生に向けて、詳しくアドバイスしてください。

栗田さん 自己分析を進めるために重要なポイントは、「自分のことを客観的に理解する(自己探索)」ことを深めていくことです。とはいえ、自分を客観視するのはなかなか難しいと思うので、周囲の方との対話を通じて、第三者から見て、自分自身がどう見えているのか、聞いてみるというのも有効な手法です。

自分の強みや、らしさというのは、自分ではなかなか見えにくかったりします。友人や家族、大学の先輩や社会人のOB・OG、大学のキャリアセンターの方など他者との対話を通して、主観的な自己探索だけでなく、客観的な自己探索を試みてください。

また、インターンシップなどの就業機会を通じて、業界や企業を広く見てみると、「こういう業界は向いていない」「このような仕事に楽しみを感じる」などの気づきが得られます。これもまた、自分のことを客観的に理解するための重要なヒントになります。

「自己探索」に加え、「環境探索」も進めよう

――ほかにも、今後の就職活動を進めるうえで大事なことはありますか。

栗田さん 2025卒の学生の皆さんは、これから就職活動の準備を進めるうえで、先ほどお伝えした「自分のことを客観的に理解する(自己探索)」ことに加え、「自分が知らない仕事や職業の世界を知るため情報収集や対話をする(環境探索)」も重要になってきます。

この「環境探索」を深めるにも、自分の視点だけではなく、社会のことをよく知る知人や関係者との会話から、今まで自分が知らなかったり、気づかなかったりした仕事や企業を知ることができるかもしれません。

ぜひ、周囲の方に「自分の強みが生かせそうな仕事はどんなものがあるか?」「自分らしさが発揮できる職場は、どんな職場だと思うか?」などの質問をしてみてください。

今まで考えもしなかった、新たな仕事や企業との出会いが生まれるかもしれません。じっくりマイペースでも構わないので、対話をして考えてみてください。応援しています。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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