「年収の壁」解決にキャリア持つ主婦層の時給アップを 企業も優秀な人材確保しWin-Winに

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「年収の壁」前に立ちはだかる「制度理解の壁」

――パッケージには一定の効果があるということですね。ところで、私はフリーコメントの中では、「これからは、どちらが倒れてもいいように2本柱で頑張りたい」「将来に向けて自立したい気持ちもある」といった言葉に胸を打たれましたが、川上さんはどんなコメントに注目しましたか。

川上さん それぞれの言葉から、家族やご自身のキャリアに対する主婦層の方々の強い思いを感じます。一方で印象的だったのは「仕組みが理解できない」など、制度がわかりにくいと指摘する声がいくつも見られたことです。年収の壁も1つではなく、所得税に健康保険、年金、住民税などさまざまあり、それぞれ計算式やルールが違うので複雑で理解するのは大変です。

年収の壁の前に、「制度理解の壁」が大きく立ちはだかっているように感じます。

――「制度理解の壁」も含めて、「年収の壁」問題の解決には、ズバリ、何が必要ですか。

川上さん 扶養枠という制度については、賛否両論があります。それぞれに一理あると思いますが、男性が働いて女性は専業主婦という夫婦モデルをイメージした制度なだけに、兼業主婦世帯のほうが遥かに多い現状とはズレが生じていると思います。

ただ、だからといって扶養枠をいきなりなくしては、既にその制度を前提に生活設計している人たちに大きな影響を及ぼしてしまいます。介護や病気などで働きたくても働けないなど、さまざまな事情を抱えている人がいます。

一方で、扶養枠外で働いて保険料などを納めている人たちから見れば、扶養枠は不公平な制度です。扶養枠をなくすことも視野に入れて、根底から制度を見直す必要があるのではないかと思います。

見直しても見直さなくても、異論が出てしまうのは避けられませんが、見直す際には既に多くの家庭で生活設計に組み込まれている制度であることを踏まえて、相応の移行期間を設けるなど十分な配慮が必要だと思います。
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