「合格」か「不合格」か、どちらに転んでも金を取られる
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当した国民生活センター相談情報部の横山彩香(よこやま・さやか)さんの話を聞いた。
――こうした被害相談は増えているのですか。
横山彩香さん ここ10年ほど、毎年700~800件ほどで高止まりしています。2022年度は730件で、そのうち7割以上が女性です。国民生活センターで何度も警告リポートを出しているのですが、一向に減りません。それだけ芸能界に憧れる若者が多いのでしょう。
――どんな手口が多いのですか。
横山さん 事例で紹介したように、まず、オーディションに応募してきた若者に「合格」と伝えます。そして、「事務所に登録すれば、いい仕事をあげる」「今しかチャンスはない」と急き立てて契約を勧めます。
「お金がない」と断っても、「すぐ仕事が入るから問題ない」「仕事をしながら返していけばよい」と、執拗に勧めます。彼らは不意打ち的に契約の話を持ち出し、冷静に考えるスキを与えません。
しかも、面接会場は狭い閉鎖的な空間ですから、圧迫感があり、数人に取り囲まれて「帰らせてもらえないのではないか」と、恐怖を感じたという若者もいます。断りづらい雰囲気に追い込むのが彼らの手口です。
――かなり、悪質じゃないですか。
横山さん そのとおりです。一方、不合格になった若者に対しても「今回は審査に落ちたが、キミには別の方面でいい才能がある。うちに登録して勉強すれば、いい仕事を与えられるようになる」と、巧みな勧誘トークで契約を勧めます。
「合格」か「不合格」か、どちらに転んでもお金を取ろうとするのが悪徳業者の手口なのです。