連合「2023年冬のボーナス」平均73.8万円 業界により30~90万円台と大きな差も

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   労働団体の連合は2023年12月8日、年末一時金(いわゆる「冬のボーナス」)の回答集計結果の第3回(最終)を発表した。組合員一人あたり加重平均は月数で2.38月、額で73万8017円となり、前年同時期より0.05月、4万6000円あまり上回った。

   回答集計によると平均額が最も高い業種は製造業で79万2018円だが、構成組織ごとに見ると細分類で大きな差があった。平均額の高い業界の代表的企業は業績好調の傾向があった。

  • 支給額は業界によって差が出た
    支給額は業界によって差が出た
  • 支給額は業界によって差が出た

平均額が高いのは「JEC連合」「フード連合」

   組合員一人あたり加重平均の額が最も高い構成組織はJEC連合で、93万6891円。連合全体の平均額を20万円近く上回っている。

   JEC連合の正式名称は「日本化学エネルギー産業労働組合連合会」。石油・化学・セメント・塗料・医薬化粧品・中小一般の6つの部会で活動を行っている。約430組合が加盟しているが、このうち34組合の実績が回答集計に含まれている(ただしどの組合から回答があったのかは不明。以下同じ)。

   JEC連合には、ENEOSやINPEXなどの石油会社、富士フイルムや三菱ケミカルなどの化学会社など大手企業の労働組合が加盟しており、これら大企業の冬のボーナス状況がJEC連合の平均に反映されている可能性がある。

   ちなみに加盟企業のひとつENEOSホールディングスは2023年11月8日、2024年3月期の連結業績予想を上方修正し、営業利益は前期比49.3%増の4200億円となる見通しだ。背景には原油高と円安があり、ガソリン補助金の延長も続いている。

   次いで平均額が高いのはフード連合で、87万8067円。正式名称は「日本食品関連産業労働組合総連合会」で、日本ハムやキッコーマングループ、J-オイルミルズ、フジパングループ、サントリーといった大手企業のほか地方の中小労組を含めた約300の労働組合が加盟し、36組合が回答している。

   加盟企業のひとつJ-オイルミルズは2023年11月8日、2024年3月期の連結業績予想を上方修正。売上高見込みが減少する一方、営業利益や最終利益見込みは大きく増加している。

   背景には、食用油の原料となる大豆や菜種の国際相場が軟調で原料コストが想定より下がったことや、家庭用・業務用の食用油で値上げが浸透したことなどがある。

「交通労連」「情報労連」は平均が低い

   平均額が3番目に高かったのはセラミックス連合で、87万5755円。本部を名古屋市に構え、TOTOや日本ガイシ、NGK、ノリタケカンパニー、鳴海製陶、香蘭社など44組合が加盟し、29組合が回答している。

   日本ガイシは中国市場を中心に自動車関連製品の出荷が増加したことなどを受けて、期末予想を上方修正。一方、TOTOは海外住設事業および半導体の市況低迷の影響を受けて下方修正を行っている。

   一方、構成組織別の額が低い順では、交通労連の31万3925円、情報労連の46万7841円、紙パ連合の53万5367円となっている。

   交通労連には、運輸、公共交通、道路・車に関係する業種を中心とした企業内の約500労働組合が加盟。西濃運輸が代表的企業だが、生コン・トラック・バス・タクシー会社や自動車学校の労組なども含む。情報労連はNTTが代表的企業だが、中小企業も加盟している。

   なお、損保大手が加盟する損保労連(損害保険労働組合連合会)の月数や額は、構成組織別の回答集計結果に記載されていなかった。

   損保業界は給与水準が高いうえ、2023年春闘では3%以上のベースアップ実現が相次いだと報じられている。業界代表の東京海上ホールディングスは2024年3月期通期の純利益予想を上方修正している。もし回答集計に含まれていたならば、平均額を押し上げたのではないだろうか。

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