日本は「世界で最も助け合わない国」? 研究者が指摘する原因は「日本人の遠慮」

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   「勤勉」「礼儀正しさ」「親切」、そして「おもてなし」と、細やかな心配りが日本人の国民性だったはず。

   ところが、日本は世界で最も「人助けをしない国」という研究報告が発表された。なんと、3年連続で世界最下位とワースト2位を続けているという。

   日本は、本当に人助けをしない国なのか? どうすれば、お互いに助け合うことができるのか。研究者に話を聞いた。

  • あなたは見知らぬ人を助けているか?
    あなたは見知らぬ人を助けているか?
  • 水野映子さん(本人提供)
    水野映子さん(本人提供)
  • (図表1)過去1か月に、助けを必要としている見知らぬ人を助けた割合(第一生命経済研究所作成)
    (図表1)過去1か月に、助けを必要としている見知らぬ人を助けた割合(第一生命経済研究所作成)
  • (図表2)「見知らぬ人を助ける」上位10か国と下位10か国。赤丸がアフリカ、青丸が欧州、緑丸がアジア諸国(Charities Aid Foundationのウェブサイトより作成)
    (図表2)「見知らぬ人を助ける」上位10か国と下位10か国。赤丸がアフリカ、青丸が欧州、緑丸がアジア諸国(Charities Aid Foundationのウェブサイトより作成)
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  • 水野映子さん(本人提供)
  • (図表1)過去1か月に、助けを必要としている見知らぬ人を助けた割合(第一生命経済研究所作成)
  • (図表2)「見知らぬ人を助ける」上位10か国と下位10か国。赤丸がアフリカ、青丸が欧州、緑丸がアジア諸国(Charities Aid Foundationのウェブサイトより作成)

「人助けをする国」上位にジャマイカとアフリカ諸国

   この研究調査が掲載されているのは、第一生命経済研究所の水野映子さんが2023年11月29日に発表した「日本は世界で最も助け合わない国?~手助けが必要な人はいるのだが~」というタイトルのリポートだ。

   水野さんの同じ「助け合い」をテーマにした「日本人の『助け合い』のかたちを再考する」(2020年3月)など、複数のリポートの元になっているのは、英国の慈善団体「Charities Aid Foundation」が毎年世界各国の人を対象に行っている「過去1か月間に『助けを必要としている見知らぬ人を助けたか』どうか」に関する割合の調査だ。

   リポートによると、日本は2009年~2018年の平均で世界最下位。また、単年でも2020年は世界114か国の平均が55%なのに対し、日本は12%で最下位、2021年は119か国中118位(世界平均62%・日本24%)でワースト2位、2022年には再び142か国中最下位(世界平均60%・日本21%)といったありさまだ【図表1】。

   ちなみに「Charities Aid Foundation」のウェブサイトを見ると、2022年の上位10か国はジャマイカ、リベリア、リビア、ナイジェリア、クウェート、ウクライナ、セネガル、ケニア、米国、シエラレオネの順。アフリカ諸国が6か国も入っていることが目立つ。

   一方、下位10か国は下から日本、ポーランド、カンボジア、クロアチア、パキスタン、モンテネグロ、セルビア、フランス、ラオス、リトアニアの順。アジア諸国(4か国)や旧ユーゴスラビア諸国(3か国)、東欧などが目につく【図表2】。

   いったいなぜ、日本が世界で最も「助け合わない国」になっているのか。J‐CASTニュースBiz編集部は、研究リポートをまとめた第一生命経済研究所の水野映子さんに話を聞いた。

――水野さんはリポート「逆カルチャーショックから考える『助け合い』のかたち」の中で、南米ウルグアイで2年間ボランティア活動をして帰国した直後、ウルグアイと日本の「助け合い文化」のあまりの違いに、「逆カルチャーショック」を受けたと書かれていますね。

水野映子さん はい。成田空港から東京への帰り道です。重いスーツケースを持って移動するのは大変でした。1人で必死に段差を乗り越えようとしている時、もし、ウルグアイ人が周りにいたら、駆け寄って手伝ってくれるだろうにと、ふと思いました。「ああ、私は今、日本にいる。帰って来たんだ!」と実感しましたね(笑)。

次は、駅のエレベーターの前に立った時。乗客がきれいに列を作って並ぶのを見て、「さすが日本!」と感心しました。しかし、車椅子を使っている人がそこに来ても、誰ひとり順番を譲ろうとしない様子を見て、感心が違和感に変わりました。ウルグアイでは、体の不自由な人や妊娠した人が来たら、列の順番を譲るのが当然のように行われていたからです。

3番目は駅の中で、自分の行き先が分からなくなってウロウロしてしまった時。「どうしたのですか?」と誰からも声をかけられなかったこと、そして、自分自身が誰かに聞こうとしなかったことにも驚いてしまいました。

帰国してしばらくしたら、声をかけられないことにはすっかり慣れてしまいましたが(笑)。
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