裏金問題、なぜ安倍派ばかり? 「守られている意識強かった」...政治評論家が指摘する「派内の慢心」

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   政治資金パーティーをめぐる裏金問題で、自民党安倍派の清和政策研究会に所属する議員ばかりがマスコミ報道で取り上げられている。

   東京地検特捜部も、安倍派の議員らを中心に捜査していると報じられている。一体どんな事情があるのか、政治評論家に話を聞いた。

  • 故・安倍晋三元首相(写真は、2017年10月撮影)
    故・安倍晋三元首相(写真は、2017年10月撮影)
  • 故・安倍晋三元首相(写真は、2017年10月撮影)

「特捜部が脱税の疑いで動いているとされている」

   各マスコミの報道によると、安倍派の一部議員らは、政治資金パーティーで、販売ノルマを超えて集めた分の収入を政治資金収支報告書に記載せず、自身にキックバックしたとされている。これが裏金として、選挙対策などに使われたのではないかという。

   それも、安倍派の5人衆と言われた幹部らに裏金疑惑が指摘されている。松野博一官房長官(61)を始め、萩生田光一自民党政調会長(60)、西村康稔経済産業相(61)、高木毅国会対策委員長(67)、世耕弘成参院幹事長(61)の5氏だ。いずれも、疑惑に明確な説明をしておらず、野党などから国会で批判に晒されている。

   これに対し、2023年12月10日になって、岸田文雄首相が安倍派の閣僚、副大臣、政務官の政務3役計15人を全員交代させる意向だと報じられた。東京地検特捜部は、13日の臨時国会閉会後に議員本人への聴取に乗り出すとされており、岸田首相も内閣改造・党役員人事に踏み切る方針だと報じられた。

   事実なら、安倍派は追い込まれている形になるが、なぜ安倍派ばかり裏金疑惑が取り上げられているのだろうか。

   政治評論家の有馬晴海さんは11日、J-CASTニュースの取材に対し、次のような見方をした。

「5派閥による過去4年間の政治資金収支報告書の不記載計約4000万円のうち、安倍派が約1900万円とほぼ半分も占め、異常に多くなっています。不記載なら修正すれば終わることが多いですが、今回は、特捜部が脱税の疑いで動いているとされています。パーティーで得た収入をキックバックして、ノルマを超えた分を自分たちのお金にしていたというわけです。それを確定申告していなければ、当然脱税とみなされてしまいます」

安倍晋三元首相の長期政権下で派内が慢心していた?

   政治資金の状況をみると、安倍派のパーティー収入は、自民党内の最大派閥にもかかわらず、22年分は他の主要4派閥の半分ほどの約9000万円に留まっている。報道によると、安倍派幹部からは、政治資金収支報告書に載せないような指示をされたと証言する議員もいたという。

「キックバック分は、議員個人のお金になったことももちろん考えられますが、派閥が使うために組織的にストックしていた可能性もあると思います。それを派閥の裏金として議員に再配分していたのかもしれません」(有馬晴海さん、以下同)

   その背景には、安倍晋三元首相の長期政権下で派内が慢心していたことも考えられるとした。

「東京高検検事長の任期を延長したこともあり、派閥が守られているとの意識が強かったのでしょう。しかし、安倍さんが亡くなると、会長が決まらず集団指導体制になって、幹部の間でお互いにけん制するようになっています。それが、今回の裏金疑惑が発覚したこととも関係しているのではないかと思います」

   安倍派は、疑惑発覚でバラバラになりかけており、岸田首相は、この機会に起用を止めるよう周囲から進言されたのではないかとみる。安倍派がいなくなると、人材が乏しくなることから、岸田派や無派閥からの起用が報じられていると指摘した。

   ただ、内閣支持率低下は続くとみられることから、岸田首相が近く解散・総選挙に踏み切る可能性は低いのではないかという。24年秋に党総裁選が予定されているが、このまま低調なら選挙の顔になる候補が出て、「岸田降ろし」が始まる可能性があるとしている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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