民法改正で成人年齢が2022年4月、20歳から18歳に引き下げられた。2023年上半期、18・19歳の契約当事者が国民生活センターに相談を寄せた件数は、4953件に達した。内容で最多となったのは「脱毛エステ」で470件、次いで「出会い系サイト・アプリ」264件、「商品一般(架空請求など)」245件となった(図1)。
「美」と「カネ」に絡む相談件数が増加しているという。
解約したくても連絡とれない
国民生活センターは2023年11月30日、「18歳・19歳の消費生活相談の状況-2023年度上半期(4月~9月)」を発表した。前述した商品・役務別の相談件数(図1)のトップ3は、2022年と変わりない。
はじめに、「脱毛エステ」についての相談内容を国民生活センター「消費生活相談データベース」を使って調べた。2023年、20代以下からの相談に絞った。
・昨日、成人の娘が脱毛エステで高額な契約をした。販売員に勧められるままに申し込んだようだ。クーリング・オフできるか
・昨年契約した脱毛サロンに解約の電話をしたが通じず問合せフォームやメールも送信したが返信がない。解約したい
などが寄せられている。
同センターは2023年8月29日、「『10代・20代、トラブル増加中!』男性の脱毛エステ」を発表。「お試し施術」や「月額〇〇〇円」などの低価格の広告で誘い、高額なコースを勧誘されたケースが目立っていることを注意喚起した。
「『10代・20代、トラブル増加中!』男性の脱毛エステ」によれば、誤って契約した場合でも、「特定商取引法に定める契約書面を受け取った日から数えて8日以内であれば書面またはメール等によりクーリング・オフをすることができます」と説明している。
「簡単に稼げる」は詐欺だった
「美」と同じく増えたという「カネ」の相談内容も、「消費生活相談データベース」で調べた。2023年に20代以下から寄せられた「他の内職・副業」(アフィリエイト内職など)の相談内容例が、以下だ。
・SNS広告で簡単に稼げる副業を見つけて電子マニュアルを購入し、有料サポートの契約をした。詐欺だと分かり支払いたくない
・出会い系サイトで知り合った女性にネットショップ運営の副業を紹介され、注文代金の立替えをしたが詐欺だった
次は、同じ条件で「役務その他サービス」(稼ぎ方指南のサポート)で検索した結果になる。
・息子が、クレジットカードを4枚作らされ、フリマアプリで架空の商品購入によりコンサルティング費用を払わされた
・SNSで知り合った女性からもうかる副業があるとコンサルティングを行っている男性を紹介され登録料を支払ったが解約したい
返金交渉「続けるしかないが難しい」
国民生活センターに取材した。SNSやインターネットを通じて知り合った、面識のない人や事業者に送金してしまった場合、返金は期待できるのか。
「代金を支払った先が個人口座である場合、返金交渉する窓口がメールやSNSとなってしまい、ブロックやアカウント削除で交渉先が無くなったりするので返金交渉が難しくなる」
このように、同センター相談情報部の担当者は答えた。
こうした「もうけ話」に関わった場合の対応方法は、「払ったお金の返金交渉を続けるしかない」と担当者。さらに、「しかし、個人なのか事業者なのかも分からない相手なので解決が難しいのが実態。広告文言の『簡単にもうかる』などの文言をうのみにせず、内容を理解してリスクをよく考えるよう注意喚起している」と回答した。