自由席より割高なのは「確実にピークシフトを促すという狙い」
反対意見で挙げられている料金設定について、年末年始は指定席特急券が通常より最大プラス400円に設定されている。その上、自由席がないため、のぞみに乗るならば割高の指定席特急券を買うしか選択肢がない。枝久保さんは、ピークシフトを促す狙いがあるとみている。
「GW、お盆、年末年始の輸送ラッシュは、休日分散化が進まない日本特有の光景です。通勤電車もそうですが、ピーク日、時間に輸送が集中しすぎると、その期間で使うためだけの車両などを用意せねばならず、非常に非効率なので、JR各社は需要の分散を図るための弾力的な運賃制度の導入を求めています。
そこで従来、特急料金を『繁忙期』『通常期』『閑散期』に分けていたのを、2022年からGW・お盆・年末年始の特に混雑する日に限り『最繁忙期』として、自由席特急券との価格差を930円に設定しています。この状況で自由席があると、安く乗りたい人のインセンティブが逆に増すため、全席を指定席とし、(「『最繁忙期』以外の期間に」)確実にピークシフトを促すという狙いがあるのだと思います」
反対意見として「思い立ったときに乗ることができない」という声もある。人気の時間帯はすぐに満席になることは予想されるが、枝久保さんは「全ての時間帯の全席が埋まるということはあり得ないでしょう」と予測している。
「東海道新幹線の普通車は約1100席。運行本数は最大471本(お盆実績)なので、こだま・ひかり合わせて1日当たり51.8万分の座席が提供可能です。今年のお盆は8月10日から17日まで8日間で上下約270万人、1日平均33.7万人が利用していますから、(ラッシュの方向の偏りはあるでしょうが)全ての時間帯の全席が埋まるということはあり得ないでしょう」