東京都千代田区の科学技術館の地下2階にある劇場型ホール「サイエンスホール」の公式X(旧ツイッター)が、「声優イベントばかりやってる」と投稿で明かして、話題になっている。
科学技術館は、皇居外苑の北の丸公園にあり、その中のサイエンスホールは、410人が収容できる施設だ。公式サイトでは、「講演会、セミナー、シンポジウム、各種発表会、トークショー、アニメイベント等に最適です」とうたっている。
「何百回も擦られたネタを自虐的に使わせていただきました」
「サイエンスホールをご存知ない方の為に」。ホールの公式Xでは2023年12月6日、こう切り出して、次のように自らを紹介した。
「武道館の隣に科学技術館という博物館があります。その地下にサイエンスホールという声優イベントばかりやってるホールがあります。こちらに馴染みが深い方は科学技術館ごとサイエンスホールと表現します。イギリスをイングランドと表現するような感じです」
このうち「声優イベントばかり」との部分に関心が集まり、7000件以上の「いいね」が押されている。何人かの声優からは、「いつもありがとうございます」とお礼があり、アニメソングなどを手がけるブシロードミュージックも「お世話になっております」と反応した。
投稿には、様々な意見も寄せられており、「実際そうだけどw」「自覚はあったんやな」との声が出て、アニメファンらからは、「親の実家より通っています」「俺たちのサイエンスホール」と反響を呼んだ。一方で、「なんか不服そうな言い方ちょっと気になった」といった意見もあった。
これに対し、サイエンスホールは、声優らにお礼を返しながら、バズった理由が分からないと戸惑いも見せた。そして、「科学をやらずに声優イベントばかりやってると何百回も擦られたネタを自虐的に使わせていただきました」と趣旨を説明し、「声優イベントばかりやってるという表現で気を悪くされた方、申し訳ございません」と謝罪もした。そのうえで、「サイエンスホールにとって声優イベントは『お前が落としたのは金の斧と銀の斧どちらの斧か』と問われた時に『どちらもいらないので声優イベントやらせてください!』と泣き叫ぶほど大切なものです」と本音を吐露している。
「何年か後に武道館に立つシンデレラストーリーに使いやすい」
サイエンスホールを運営する日本科学技術振興財団のイベント担当者は12月7日、J-CASTニュースの取材に対し、声優イベントによく利用されている理由についてこう説明した。
「ホールの大きさや古さといった条件がイベントに合っているからだと思います。400ほどの席は、声優さんがラジオの公開録音をするなどにいいスペースです。60年近く前に開館しましたので、アンティーク調の空間が特撮やサブカル系との相性もいいです。1階の展示会場などでこうしたイベントがあると、ホールも同時に利用されますね」
さらに、日本武道館のそばにある立地が効を奏しているという。
「声優さんがCDの発売イベントをうちでやると、いずれは武道館を目指そうとされます。『ドリフェス!』や『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』のアニメから武道館を目指したように、何年か後にその舞台に立つシンデレラストーリーに使いやすいのだと思います」
実際、「うる星やつら」の三宅しのぶ役などで知られる声優の内田真礼(まあや)さん(33)は、14年にサイエンスホールで歌手デビューして、19年の元日に武道館でワンマンライブを実現させている。
科学技術館は、博物館などの公益的側面があるが、それだけでは赤字になるため、サイエンスホールが収益的側面を担っているという。エンタメ系は収益がよいとみて、声優イベントには、10年ごろから力を入れ始め、現在は、土日を中心に8、9割が声優イベントだとした。
「お得意様との縁として、業界の発展のためにやっていると思っています。科学系イベントが少ないからといって、国から何か言われていることはありません」
声優イベントに来る客は、20~50代までと幅広く、女性声優の出演が多いことから、男性客の方が少し多いという。
「来られている方は、アイドルのファンと変わらないですね。マナーは、すごくいいですよ。推しに迷惑をかけてはいけないと、ゴミを拾っていきます。むしろ、一般客よりもいいぐらいですね」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)
サイエンスホールをご存知ない方の為に。
— サイエンスホール (@Science__Hall) December 6, 2023
武道館の隣に科学技術館という博物館があります。その地下にサイエンスホールという声優イベントばかりやってるホールがあります。こちらに馴染みが深い方は科学技術館ごとサイエンスホールと表現します。イギリスをイングランドと表現するような感じです。