毎週日曜18時放送のテレビ番組「世界遺産」(TBS)について、「『負の世界遺産』を取り上げなくなっている」と指摘する投稿が2023年12月上旬からX(旧ツイッター)で話題になっている。
過去、ソニーが単独スポンサーだった時期には取り上げられていた、との主張だ。投稿には「これは私も気になってた。負の遺産紹介しなくなりましたね」「毎週観てて確かに映え優先なチョイスが続いてる」といった声が広がっている。実際はどうなのか。TBSに見解を聞いた。
原爆ドーム、バーミヤンが単独で登場したのはソニー時代
同番組は元々、1996年に始まり、ソニーの最先端機材での撮影を前面に押し出しているのが特徴でもあった。2015年3月をもってソニーが撤退し、撮影機材は新しいスポンサーの1社にあたるキヤノン製へ変わった。23年7月からはデータ放送も導入され、放送中には見どころや投票企画「あなたが選ぶ今日のベストショット」が配信される。
Xで話題の「負の世界遺産」とは正式な定義や分類がないものの、戦争や人種差別など人類が犯した過ちを証明し、二度と繰り返さないよう後世に伝える役割も持つ場所を指す。
番組公式サイトの複数ページでも言及されており、代表的なものとして南アフリカの「ロベン島」、日本の「広島平和記念碑(原爆ドーム)」、アフガニスタンの「バーミヤン」、セネガルの「ゴレ島」、ポーランドの「アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所」、ボスニア・ヘルツェゴビナの「モスタル旧市街の古橋地区」、マーシャル諸島共和国の「ビキニ環礁核実験場」が挙げられている。
サイト上の放送アーカイブを確認したところ、これらはそれぞれ、ソニー1社提供の時代には番組で扱われていた。しかしスポンサー変更以降は、例えば総集編的な特別回の一部で登場することはあっても、少なくとも先述した負の世界遺産に関して、メインで取り上げた放送回は見つけられなかった。
一方、番組においては、アフリカの「ヴィクトリアの滝」など過去に放送していても2度3度取り上げられる場所も存在している。
TBS「これからも真摯に」
一連をふまえ、負の世界遺産を番組で取り上げなくなっている事実はあるか、現在の番組コンセプト、取り上げる場所の基準、Xの反響への受け止めなどを尋ねたところ、TBSの広報・IR部は12月7日、下記のとおりJ-CASTニュースの取材に答えた。
「番組の制作過程については従来お答えしておりません。これからも真摯に世界遺産をテーマにした番組作りを続けていくつもりです」