やる気のない部下に囲まれ苦悩する上司 ぶれずに向き合い続けた末に若手の心が動いた【専門家が解説】

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若手部下の「一言」がチームを変えた!

   そんなEさんから連絡をもらったのは、ゼミ卒業後から数か月経った頃でした。

   彼は、その後もゼミでの経験を胸に、ビジネス書などで独学しつつ、部下たちには繰り返し「何のために働くか」を話し続けていたというのです。

   そんなある日、Eさんがいつものように営業会議で同じ話を持ち出すと...。ついに、年上や同世代のベテラン部下たちが「もういい加減にしてくれないか!」と言い出したのです。

   さすがのEさんも言葉を失い、体が震えました。もう諦めるしかないのか...。

   すると、その時です。それまで会議であまり発言をしなかった若手部下が手を上げ、起立したのです。

「みなさんは所長への批判や文句ばかりを言っていますが、何もやっていないですよね。僕はこの1年、所長の話をずっと聴いていて、所長はぶれないと思いました。所長は本気なんだと思います。僕は批判や文句ばかりの人にはついていけないけれど、常に前を向いて歩もうとしている所長にはついていきます」

   部下は、上司のことをよく見ているものです。会議の後、Eさんはその若手部下とあらためて語り合い、しっかり握手をしたといいます。

   以降、ベテラン部下たちがEさんを公然と批判することはなくなり、次第に自分たちの行動を内省して改めるようにもなり、チーム全体が変わり始めたとのことです。

   Eさんは長く葛藤し、苦しい思いもたくさんしましたが、あきらめず思いを説き続けることで、人と組織を動かす突破口を見つけました。そのことを、喜び一杯に知らせてくれたのです。

   私はこの報告を聞き、Eさんの悩んできた姿を知るだけに、思わず涙腺が緩んでしまいました。

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