カレー1杯を2人で注文したら...人生変わる展開に 「ココイチ創業者の手紙」再脚光、本人「何か貢献できたらとずっと思っていた」

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   大手カレーチェーン「CoCo壱番屋」の創業者、宗次徳二さん(75)から届いた1通の手紙で人生が変わった――そんな若手経営者を紹介した新聞記事の内容が、X(旧ツイッター)上で再び取り上げられ、感動したとの声が相次いでいる。

   リサイクルショップなどを展開する愛知県内の会社経営者、若山陽一郎さん(45)を巡るエピソードを書いたのは、朝日新聞デジタル版の2021年2月4日付記事だ。

  • CoCo壱番屋(写真:アフロ)
    CoCo壱番屋(写真:アフロ)
  • 宗次徳二さんの公式サイトから
    宗次徳二さんの公式サイトから
  • 若山陽一郎さんの公式サイトから
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  • CoCo壱番屋(写真:アフロ)
  • 宗次徳二さんの公式サイトから
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アンケートはがきに感謝の意を書くと、創業者から手紙が

   「彼女と分け合ったカレー1皿 ココイチの手紙で人生一変」。記事では、こう題して若山さんと宗次さんとの交流をつづっている。

   記事によると、若山さんは、23歳のときにダンサーを目指して岐阜県から上京した。お金がなく、友人宅で同居する生活を送っており、あるとき、岐阜の彼女が会いに来た。

   所持金は400円しかなかったが、CoCo壱番屋の店に入り、400円のポークカレーを注文した。2人で分け合ったが、店員は嫌な顔をせず笑顔で接してくれたという。若山さんは、店にあったアンケートはがきに、店員への感謝をつづった。貧しい生活でも夢を持ち続ける自身の話も書くと、1か月後にCoCo壱番屋から手紙が届いた。そこでは、宗次さんが「自分も貧乏だったため、胸が熱くなった」と若山さんを激励しており、3000円分の食事券も同封されていた。

   そして、その8年後に、リサイクルの仕事をしていた若山さんがある会社経営者にこのことを明かすと、「なぜ、宗次さんにお礼を言わない」と険しい表情になった。経営者が連絡してくれて、若山さんが会いに行くと、宗次さんは、手紙を覚えており、こうして来てくれて3000円の投資はうまくいったと喜んでくれた。これに対し、若山さんは、宗次さんのようなビッグな存在になりたいと意欲を語った。それから11年が経った今、愛知県内で経営者として宗次さんの教えを実践している。

   この記事内容について、23年12月4日にX上で要約して改めて取り上げられると、4万件以上の「いいね」が集まる反響を呼んだ。

「『成長したかったら、もっと社会に貢献しなさい』と言われた」

   「情けは人の為ならず」「マジで感動した」「なんてあたたかい話なんでしょう」といったリプライが次々に寄せられている。店員や若山さんの彼女にも称賛が集まっており、「登場人物全てが素敵な人です」と感嘆する声も出ていた。

   1989年に泣ける話だと大きな話題になり、後に映画化された「1杯のかけそば」にちなんで、「1杯のカレーライス」としても共感を呼んでいる。

   若山さんも12月5日、X上で話題の投稿を引用して、「めちゃくちゃバズってるみたいで、朝からたくさんの方が連絡くれました ありがた過ぎます」と喜んだ。

   宗次さんとの交流について、若山さんは同日、J-CASTニュースの取材に応じ、次のように語った。

「10年ほど前に、初めてお会いしたとき、『成長したかったら、もっと社会に貢献しなさい』と言われました。当時は、自分のためだけに頑張っていましたので、そのお言葉がすごく胸に残っていて、人生が変わりました。現在も、リサイクルの仕事を続けていますが、古いものを残していく文化を伝えたり、ゴミをなくす活動をしたり、地域や環境のために役立つような貢献を考えるようになりました」

   23年3月に2冊目の本を出版したときには、宗次さんとのエピソードを書き、1月に確認のため、宗次さんとコンタクトを取った。宗次さんは、「ぜひお願いします」とうれしそうだったという。2年前にテレビで2人の交流が紹介されて大きな反響を呼ぶと、映画化の話が国内の制作会社から出たが、これについては動きがなく実現するかは未定だ。

「宗次さんに何か貢献できたらいいと、ずっと思っていました。今回話題になったことをSNS上で検索すると、『ココイチすごい!』『宗次さんすごい!』とリアクションがありました。自分の活動でお返しができたのではないかとうれしい限りです」(若山さん)

現在の社長も、創業者同様に1日1000通以上のはがきに目を通す

   宗次さんを紹介した過去の新聞記事などを見ると、宗次さんも、若い時にかなり苦労したことが分かる。

   それらによると、宗次さんは、児童養護施設に預けられて親も分からず、養子に出てからは、タバコが好きな養父に喜んでもらおうと、パチンコ店で吸い殻を拾っていたという。高校を出ると、不動産会社に入り、そこで出会った妻と名古屋市内で喫茶店を開業した。妻が作ったカレーが人気となり、そこからCoCo壱番屋のサクセスストーリーが始まっていた。

   宗次さんは、会社が大きくなっても、アンケートはがきに目を通すことは止めず、その数は1日1000通以上だったという。会社を辞めてからも、道端のゴミを拾ったり花を植えたりする社会貢献を続けており、X上でもその活動を報告している。

   CoCo壱番屋を運営する壱番屋(愛知県一宮市)は12月5日、取材に対し、現在の社長も同様に1日1000通以上のはがきに目を通していると明かした。

「お客様の声ですので、すべてのはがきに1枚1枚目を通しています。また、はがきをいただいたお客様には、抽選で毎月600人に3000円分のお食事券を送っています。各店舗では、駐車場に限らず近隣の店周辺の掃除をしたり、児童養護施設に寄付したりする社会貢献活動もしています」

   創業者の意向とは関係ないというが、伝統は受け継がれているようだ。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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