外国人観光客らでバスが混雑するため、京都市バスは、スーツケースなど大型の荷物を車内に持ち込まないよう呼びかけるステッカーを乗車口の窓に貼り出す取り組みを始めた。
その代わりに、京都駅でスーツケースなどを預かって宿に届ける業者のサービス利用を呼びかけている。ステッカーの効果などについて、京都市交通局に取材した。
「スーツケースを5つ持ち込めば、車内が混雑する原因に」
窓のステッカーには、スーツケースの上に禁止マークが付いたイラストが出ている。
「大きな荷物のバス車内への持ち込みはご遠慮ください」
こう呼びかける日本語の上に、英語で同じ文面が大きく出ている。日本語の下には、中国語の文面もあった。
このステッカー写真は、2023年12月3日にX(旧ツイッター)上で投稿された。
乗車口に貼ってあったといい、外国人観光客が車内に大型バッグをどんどん持ち込むからではないかと投稿者は推測していた。
投稿は、5000件以上の「いいね」が押されており、インターネット上で写真が拡散している。
ステッカーについて、京都市交通局の運輸課は4日、J-CASTニュースの取材に対し、11月28日~12月4日にかけて順次、市バス約800両のうち、小型を除く9割以上の車両の乗車口に掲示していると説明した。
「例えば、外国の方が5人の団体で乗車し、スーツケースを5つ持ち込めば、車内が混雑する原因になります。バスに乗れないお客様が出てきたり、ケースが他のお客様にぶつかったりと、トラブルも発生しかねません。荷物が多くてバスに乗れなかったなどと、お客様からご意見もいただきました。コロナ禍の前は、大きな問題ではありませんでしたが、インバウンド需要がかなり回復してきて、マナーが悪いケースもみられます。そこで、大きな荷物の持ち込みについては、極力控えてほしいとお願いすることにしました」
手荷物を預かって宿へ送る業者サービス利用を呼びかけ
その代わりに、市交通局が念頭に置いているのは、市の「手ぶら観光」事業を外国人観光客らに利用してもらうことだ。
「京都駅で業者が手荷物を預かって、宿泊先まで送るというものです。市の担当部局が、8月ごろから力を入れていると聞いています」
ネット上では、スーツケースなどの持ち込みに料金を取ればいいとの意見も多いが、道路運送法上、料金を取ることはできない状況だという。
バスにステッカーを掲示してから、トラブルがあったとの話は聞いていないとした。スーツケースなどを車内に持ち込むケースは、以前より少なくなっているのではないかとして、効果が出ているとの見方を示した。
手ぶら観光を進める市の観光MICE推進室は12月4日、取材に対し、この事業は、観光の質を上げるため、12年度から行っていると説明した。
「その後、外国人観光客が増えて、バスが混雑して乗りにくいとの声が聞かれましたので、混雑緩和の対策も兼ねて、18年からは、『HANDS FREE KYOTO』という公式サイトを立ち上げ、情報発信しています。常時行っている取り組みとして、京都駅周辺に手荷物預かり・宿への配送の窓口を設置しています。4社が業者として対応しており、預かりだけの業者もいくつかあります」
また、秋の紅葉シーズンの対策として、11月18日~12月3日までの土日祝日に、京都駅に臨時手荷物預かり所を設置した。ここでも、手荷物預かり・宿への配送を手がけていた。
料金は、手荷物預かりは1回1000円、宿への配送は常設が1300円で、臨時が1500円となっていた。今後の対策については、臨時預かり所の成果を踏まえて考えたいとしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)