「清水屋の生クリームパン」訪問販売やってないのに... 購入した人の報告多数で「かなり困っております」

人気店や企業から非公開の招待状をもらおう!レポハピ会員登録

   「清水屋の生クリームパン」をご存じだろうか。2010年代には、情報番組「ヒルナンデス!」(日本テレビ系)などで特集され、一躍有名になった。

   その生クリームパンについて、ちょっとしたミステリーが起きている。メーカーの清水屋食品(岡山市)も、少々困っているようだ。取材して話を聞いた。

  • 清水屋の生クリームパン(同社提供)
    清水屋の生クリームパン(同社提供)
  • 清水屋の生クリームパン(同社提供)

「さわやかなイケメン2人組」が勧めてきた

   そのミステリー。X(旧ツイッター)の声を総合すると、こうだ。自宅などに「清水屋の訪問販売員」を名乗る人物が現れ、生クリームパンをはじめ清水屋の商品と称する食品を勧める。保冷効果付きの手引き車を引いており、そこにのぼりを立てている例もあるという。購入を承諾すると、販売員は代金と引き換えに商品と領収書を渡し、退散していく。

   ところが、購入した品を食べた後に家族から「清水屋は訪問販売をしていない」と指摘されてびっくり。インターネット上で同様の証言を知り、さらに驚くというパターンだ。

   J-CASTニュースBiz編集部は、実際に「訪問販売員」から商品を購入したという40代女性のAさんに証言を得た。2022年のある日の昼過ぎ、路地に面したビル1階にある事務所で1人で仕事をしていると、「さわやかなイケメン2人組」が手引き車を引いて訪問してきたという。

「今、この辺を回ってるんですけど、甘いものお好きですか?」
「清水屋のクリーパン、お好きですか?」

と声をかけてきた2人組。Aさんが購入を決めたのは「清水屋の生クリームパン」とされる商品2つだった。他にも商品を勧めてきたが、断った。代金を払うと、2人組は領収書を置いて去っていったという。

   その後Aさんは、事務所に戻ってきた同僚に「清水屋は訪問販売を行っていない」と指摘されて驚いたという。記者が当該の領収書を確認すると、ネット上で他の投稿者がアップしているものと同様の紙を使用した領収書のようだった。

訪問販売これまで1度もやってない

   これらの奇妙な話については、清水屋も関知している。2020年には公式ツイッターで言及。「清水屋直営店では訪問販売や路上販売は一切行っておりません」と明言している。同時に、

「清水屋を語る訪問販売等は全く別会社ですが、どのようなルートで商品仕入れて売っているのか分からず我々でコントロール出来ていないのが現状です。ただ商品自体の製造元は清水屋の工場です」

とも書かれていたのだ。真相を確かめるべく、清水屋の営業担当者に取材した。

   話によると、かつて清水屋は、鉄道駅構内などの催事場で扱ってもらうため、自社商品を問屋経由で販売業者に供給していた時期があったという。当時からたびたび、「清水屋の生クリームパンを訪問販売で買った」とする問い合わせが寄せられていたそうだ。一方、商品自体は本物であることが確認されたため、清水屋は販売業者に商品管理の徹底を再三にわたって要求したという。その一方で、これまで清水屋が自ら訪問販売を行ったことはないと担当者は語る。

   しかし、その後も「訪問販売で買った」とする声がなくならないため、約1年前に該当の販売業者への商品供給を打ち切ったと明かした。ただ、「清水屋の訪問販売を名乗る業者が来た」という報告は今も同社に寄せられる。「他社の製品を清水屋の商品だと称して売っているようで、当社としては、かなり困っております」と話した。実際に訪問販売している企業がどこなのかは見当もつかず、「販売のシステムは不明です」。

(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)

姉妹サイト