働き方の選択肢を増やすスピードを上げよう
――今回の調査に対して、特に強調したいことがありますか?
川上さん L字カーブで表されている女性の正社員比率の低下は確かに問題だと思いますが、比率にこだわりすぎると、数字にばかり目が奪われてしまいがちです。しかし、より問題視すべきポイントは、比率の数字よりも正社員になりたいのになれない人にフォーカスして、正社員になれるようにしていくことだと思います。
極端な例ですが、もし正社員になりたい人がゼロであれば、正社員比率がゼロであっても特に問題にはならないと思います。一方で、全員誰もが正社員になりたいと考えている訳でもありません。個々の働き方の希望に丁寧に目と耳を傾けた上で、正社員になりたいのになれない人をゼロにしていく、という観点がより重要なのだと思います。
また、男性育休の促進など、性別役割分業を解消する機運が社会全体に広がりつつあります。同時に、仕事と家庭の両立で悩む男性も増え、L字カーブがはらむ問題は女性特有のものではなくなっていく可能性があると思います。
そのように働き方や生活形態の志向が性別を超えて多様化していく一方で、働き方の選択肢が十分に用意されていないと感じます。誰もが望ましい形で働くことができるようにするために、働き方の選択肢を増やすスピードを上げる必要があるのではないでしょうか。
(J-CASTニュースBiz編集部 福田和郎)