女性の正社員比率がガクンと下がる「L字カーブ」 解決の決め手は「ニュータイプ」の正社員

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正社員をあきらめた年配世代の「魂の叫び」

   J-CASTニュースBiz編集部は、研究顧問として同調査を行い、雇用労働問題に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに話を聞いた。

――調査結果の中で一番意外だったのは、「L字カーブを解消すべきだ」と考える人が、若い人ほど少ない点です。若い世代には「働き方改革」の考えが浸透し、かつ、共働き意識が高いと思っていました。これはどういうことでしょうか。

川上敬太郎さん 年々共働き世帯の比率が上がってきていることを考えると、年代が低い人ほど共働き意識は高まっているように感じます。ただ、L字カーブは年代が高くなるにつれて女性の正社員比率が下がっていくことで描かれるものなので、正社員比率が低い年代が高い層のほうが、よりL字カーブ解消の必要性を強く感じるという面もあるのかもしれません。

また、お子さんがいるご家庭では、年代が低いほど子どもの年齢も小さいと考えられます。その分育児に手がかかることを踏まえると、正社員という時間拘束性の高い働き方は選びにくいことも考えられます。

さらに、フリーコメントに、会社に勤める前提ではなく個人事業主で仕事しやすい環境を求める声が寄せられたように、働き方の多様化が進む中で、正社員だけを望ましい働き方だと考える「正社員一択」の時代ではなくなってきていることも影響している可能性もあると思います。

とはいえ、30代以下でも「解消すべきだと思う」と答えた比率が最も多く、全年代を通じてL字カーブは解消すべきだと考える傾向が強いことには変わりないと言えるのではないでしょうか。

――なるほど。ただ、年代の高い人はすでに子育てを経験している人が多く、かつ、「L字カーブ」の現実を経験した当事者である人々です。こういう人たちに「L字カーブを解消すべきだ」と考える人が多いのは、「解決策があったはずなのに」という改革の念というか、魂の訴えということでしょうか。

川上さん 年代が高くなるにつれて正社員比率は低くなっていますが、それは必ずしも、年代が高い層は正社員を望まなかったという意味ではないのだと思います。むしろ、家庭の事情や「女性が働くなんて」といった、当時の社会の価値観による圧力などによって、不本意ながら正社員として働き続けることをあきらめた人がたくさんいたはずです。

そうした経験があるからこそ、子育てがひと段落して家庭の制約が少なくなってから、改めて振り返った時に、結婚や出産をきっかけとしたキャリア分断による負の影響を再認識して、「辞めずに正社員として続けていれば、もっとキャリアを発展させられたかも」という思いを強くした可能性もあります。

そう考えると、ご指摘の通り「解決策があったはずだ」という改革の念に燃えている魂の訴えという側面もあるのかもしれません。
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