女性の正社員比率がガクンと下がる「L字カーブ」 解決の決め手は「ニュータイプ」の正社員

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   働く女性がキャリアを築くことの難しさを表わす言葉として「L字カーブ」がある。女性の正社員比率を折れ線グラフにすると、Lの字を寝かせたような形になることから名付けられた。

   働く主婦・主夫層のホンネを探る調査機関「しゅふJOB総研」(東京都新宿区)が2023年11月29日に発表した「『L字カーブ』に関する女性の意識調査」によると、就労志向のある主婦層の半数以上がL字カーブの解消を望んでいることがわかった。

   しかし、若い世代ほど解消に消極的という結果が出た。いったいどういうことか。調査担当者に聞いた。

  • L字カーブを解消して、生き生きと働きたい(写真はイメージ)
    L字カーブを解消して、生き生きと働きたい(写真はイメージ)
  • (図表1)L字カーブとM字カーブ(内閣府男女共同参画局の公式サイトより)
    (図表1)L字カーブとM字カーブ(内閣府男女共同参画局の公式サイトより)
  • (図表2)L字カーブは解消すべきと思うか(しゅふJOB総研の作成)
    (図表2)L字カーブは解消すべきと思うか(しゅふJOB総研の作成)
  • (図表3)L字カーブ解消について年代別比較(しゅふJOB総研の作成)
    (図表3)L字カーブ解消について年代別比較(しゅふJOB総研の作成)
  • (図表4)L字カーブ解消に必要なこと(しゅふJOB総研の作成)
    (図表4)L字カーブ解消に必要なこと(しゅふJOB総研の作成)
  • L字カーブを解消して、生き生きと働きたい(写真はイメージ)
  • (図表1)L字カーブとM字カーブ(内閣府男女共同参画局の公式サイトより)
  • (図表2)L字カーブは解消すべきと思うか(しゅふJOB総研の作成)
  • (図表3)L字カーブ解消について年代別比較(しゅふJOB総研の作成)
  • (図表4)L字カーブ解消に必要なこと(しゅふJOB総研の作成)

L字カーブの解消、若い世代ほど望まない?

   【図表1】は、内閣府男女共同参画局の公式サイトに公開されている「『L字カーブ」(下の青線グラフ、2021年)だ。女性の年齢別正規雇用(正社員)の比率を折れ線グラフにしたもので、20代半ばまでは右肩上がりに上昇するが、29歳前後の58.7%をピークに、一転して30代以降は右肩下がりに下降していく。

   そのカーブがLの字を寝かせたようなかたちになることから、そう呼ばれている。一方、上の赤線グラフは女性全体の就業率を表したもの。こちらは30代~40代前半の子育て真っ盛りの期間は凹むが、20代と40代後半以降は上昇するため、そのかたちから「M字カーブ」と呼ばれる。

   ともに、結婚、出産、子育てという働く女性のライフステージが、雇用形態に明確に表れて文字のカーブを描いている。

   「しゅふJOB総研」の調査(2023年7月11日~18日)は、就労志向のある主婦層649人が対象。まず、「L字カーブは解消すべきかどうか」を聞くと、「解消すべきだと思う」が52.4%と半数を超えた。「一概に言えない」が37.6%、「解消すべきだと思わない」が3.4%だった【図表2】。

   これを年代別にみると、「解消すべきだと思う」が30代以下(45.5%)、40代(52.3%)、50代(52.9%)、60代(56.8%)と、若い世代ほど「解消すべきだ」と考える人が減り、逆に「解消すべきだと思わない」という人の割合が増えていく【図表3】。

   L字カーブ解消に必要なことは何かを聞くと(複数回答可)、「必要な時に柔軟に休みがとれる職場体制を整える」(74.3%)が最も多く、次いで「短時間・短日数正社員を普及させる」(67.2%)、「家事育児負担の女性への偏りをなくす」(56.7%)と続いた【図表4】

   フリーコメントでは、「解消すべきだ」とする人からこんな意見が相次いだ。

「社員でも在宅や時短での勤務を可能にすることで、子育てとのバランスが取れて働ける女性が増えると思う」(40代:SOHO/在宅ワーク)
「昔から育児家事は女性の仕事だと当たり前になっています。現在では男性も育休が取れるようにはなってきていると言っても、まだまだ少数です。この常識になっている意識を変えないと解消は出来ないと思います」(30代:パート/アルバイト)
「育児が落ち着いてきたら、今度は介護の問題がでてくるので、途中からフルタイム勤務にするのはハードルが高い」(40代:パート/アルバイト)
「キャリアや才能がある人は時給の良いお仕事に就けるけど、子育てしていた人はキャリアがないからそこが認められない。子育てもキャリアにしてくれたらいいのに」(50代:派遣社員)

   一方、「解消すべきだとは思わない」という人からはこんな意見が聞かれた。

「中学生になったら働けると思ったが、小学生よりも部活や塾など増えて逆に働きにくい。子どもが育っていざフルタイムで働こうと思っても、年齢の壁でなかなか仕事につけません」(40代:パート/アルバイト)
「正社員だからこうしなくてはいけない、フルタイムじゃないといけない、責任のあるポジションにつかないと、など固定観念や先入観があり、正社員でいるモチベーションを下げている。頭から変えないとカーブは止まらない」(30代:その他の働き方)
「女性が働きやすい環境を作るだけでなく、子どもや高齢者に優しい社会を作らなければ、実現しないと思う」(50代:正社員)
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