特定外来生物に指定される「キョン」が千葉県で大繁殖していると、複数社が報じている。県は2021年に策定した「第2次千葉県キョン防除実施計画」のもと、完全駆除を目指している。しかし、狩猟やジビエに関するビジネスに携わり、ジビエ肉や加工品を販売する「猟師工房ドライブイン」(千葉県君津市)を運営する原田祐介さんは、2023年11月30日にJ-CASTニュースの取材に対し、キョンの完全駆除は難しいと話した。
キョンは「意外にイノシシなどほど賢くない生き物」
キョンは小型のシカの仲間であり、日本では施設から脱走した個体が野生化しているため、現在、千葉県と伊豆大島にしか生息していない。千葉県によると、県内で21年は推計5万9500頭だったものが、現在は7万1500頭に増えているという。
原田さんは5年ほど前からキョンの二次利用(ジビエ化)に取り組み、「猟師工房ドライブイン」でもキョン肉を販売している。「キョンの殲滅が終わったら、私たちの取り組みも一切終わるという考え方です。でも、それまでの間は、いただいた命とちゃんと向き合って、二次利用することによって供養してこうというスタンスでいます」と思いを明かしたが、一方で「殲滅は無理だと思います」とも話す。
その理由として、原田さんは農業被害や林業被害を減らすために、増えすぎた害獣を駆除すると支払われる捕獲報奨金が、イノシシやシカに比べキョンは少ないことを挙げた。
「みんな狙うのはイノシシやシカです。キョンは、たまたまついでに獲れちゃったという流れで捕獲されます。イノシシやシカと同等になれば一生懸命捕まえる人も現れると思いますが、今のままのシステムだとキョンを専門に狙う人はそういないでしょう」
そのため、道具も広まっていないという。
「小型なので、イノシシやシカを専門に獲る罠だと獲りづらいです。でも、意外にイノシシなどほど賢くない生き物なので、簡単に獲れます。私の会社では、キョンが獲れる罠を開発しています。地雷のように地面に埋めて、(キョンが)それを踏むと足をワイヤーでくくるような罠です。道具とやり方がもう少し広くいろんな方に知れ渡れば、捕獲率は上がってくると思います」