職場には従業員の「幸せの種」が落ちている
――最後に、「若者の孤独問題」に企業を取り組むうえで、特に強調しておきたいことがありますか。
坂田さん 孤独は誰もが持ちあわせる可能性があり、特別なものでも病気でも何でもなく、自分の機嫌の取り方や孤独との向き合い方を身につけながらうまく付き合っていくことが必要です。それを手助けする場の一つとして職場があり、せっかく多くの時間をそこで過ごすのであれば、職場によいきっかけが散りばめられているとよいなと考えています。
橘さん 若者は交流を求めていない、何を考えているかわからないと思う方も多いかもしれません。しかし、今回明らかになったように若者も気軽なコミュニケーションを求めている人が多くいます。お互いにコミュニケーションを求めているのに、世代間での認識のずれからうまく交流できていないだけかもしれません。
今回は若者の孤独に着目しましたが、孤独の予備軍であるのは若者以外も同じです。企業においてコミュニケーションを活性化していくことは若者以外にもメリットがあると考えています。
(J-CASTニュースBiz編集部 福田和郎)
坂田彩衣(さかた・あい)
野村総合研究所社会システムコンサルティング部シニアアソシエイト
King's College London卒、Msc Gerontology(老年学修士)。2014年野村総合研究所入社。専門は、ジェロントロジー、高齢社会政策、孤独・孤立政策など。
同僚の橘和香子さん、平本涼さんとの共同研究リポートに「アフターコロナで変わる生活、解消されない孤独-3カ年の継続調査からみえてきたこと-」などがある。
橘和香子(たちばな・わかこ)
野村総合研究所社会システムコンサルティング部シニアアソシエイト
早稲田大学大学院創造理工学研究科建築学専攻(修士)。2019年野村総合研究所入社。建築・防災、孤独・孤立対策、地域支援など。