企業は今こそ「若者の孤独」と本気で向き合おう 会社も社員も幸せになれる一歩は「たわいもない雑談」から

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副業のススメが、孤独の解消につながる理由

――実に、いい話ですね。お年寄りは若者より人生経験が豊かですから、雑談の中からアドバイスできることがいっぱいありそうです。ただ、孤独解消のために社員にボランティア活動を勧めるとなると、ちょっとハードルが高いと感じる企業が多いのではないでしょうか。

坂田さん ZCTの例のように、従業員と高齢者双方にメリットがあるのであれば、日本でもそうしたボランティア活動を社員に紹介してくれる企業が増えるとよいなと思います。また、副業のような制度も一つの選択肢として考えられるのではないかと思います。

企業が社員に副業の解禁、奨励をする場合、副業で身につけた多様なスキルやノウハウを自社に還元してもらい、事業拡大に役立てる。あるいは、副業を認めることで、さまざまなスキルや経歴を持つ優秀な人材に来てもらうといった実利的なメリットを想定していることが考えられます。

一方で、副業の緩和は、社員にメンタル面でのメリットももたらすのではないかと想像します。副業によって、新しいコミュニティーが生まれ、人間関係が広がります。それまで家と会社だけだった居場所に、もう1か所「サード・プレイス」(第3の場所)ができ、新たな役割が増え、気軽に雑談をできる相手が増える可能性があるのです。

特に趣味のない人やボランティアが苦手な人でも、副業なら収入が増えるし、新たな相談先の選択肢が増えますから、一石二鳥ですね。

――ところで私は現在、70代です。昭和の企業では、「社員の孤独」などほとんど意識したことがありません。会社の運動会、職場対抗のボーリング大会、ライバル会社との草野球試合、家族も参加した社員旅行、忘年会、新年会、徹夜の飲み会など、社内イベントが目白押しでした。

昼休みには、ビルの屋上や近くの空き地で輪になり、バレーボールをしたものです。こうした社内イベントを復活させる方法もアリだと思うのですが、いかがですか。

橘さん 皆で何かをするからといって孤独が解消するわけではありません。そういったイベントを復活させる場合、参加が義務ではなく、出たい人だけが出るのなら、いいと思います。

ただ、明示的なルールはなくても出なくてはならない雰囲気があり、イベントの幹事役を若者がやらせられるようなら、今の若者には受け入れられないでしょう。参加はしないかもしれないけど、自分が参加してもよいイベントや場があるという事実は、若者の心理的安全性の確保にもつながります。
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