地域経済を活性化しようと全国で導入が進む「デジタル地域通貨」だが、どのくらいの人が利用しているのだろうか。
モバイル専門の市場調査を行うMMD研究所(運営元はMMDLabo、東京都港区)が2023年11月22日に発表した「デジタル地域通貨に関する調査」によると、利用経験のある人は約2割、また知っている人が約5割だった。
しかし、利用経験者の満足度は約8割と高い。デジタル地域通貨は今後浸透するのか。調査担当者に聞いた。
買い物からウォーキング、さまざまなポイント給付
デジタル地域通貨は、自治体や地元の金融機関、商店街などが特定の地域内でのみ使える決済手段として運営するもので、主にスマホなどの専用アプリを取得して使う。地元の商店街などで購入すると、入金(チャージ)や決済時に一定のポイント還元を受けられる仕組みが多い。
また、自治体が、「1日8000歩」といった住民の積極的な健康増進の取り組みにポイントを給付するケースも少なくない。
今年(2023年)10月、東京の八王子市、国立市、東村山市の3市が相次いで導入を発表して話題になった。先行事例では、埼玉県深谷市の「negi(ネギー)」、静岡県御殿場市の「富士山Gコイン」、東京都世田谷区商店街振興組合連合会の「せたがやPay」、飛騨信用組合の岐阜県高山市・飛騨市・白川村3市村での「さるぼぼコイン」などが知られている。
MMD研究所の調査(2023年10月24日~10月30日)は、全国の18歳~69歳の男女8000人が対象だ。まず、デジタル地域通貨を知っているかを聞くと、「現在利用している」~「名称は知っているが、どんな内容なのか知らない」までを合わせた認知は55.0%となった。
また、「現在利用している」と「過去利用したことがある(現在は利用していない)」を合わせた利用経験は17.5%となった【図表1】。これを年代別にみると、利用経験は20代(29.3%)が最も高く、次いで30代(21.8%)、40代(15.6%)と、若い世代ほど利用経験が多くなった【図表2】。
デジタル地域通貨の利用経験者に、買い物の頻度が増えたかどうかを聞くと、64.5%の人が「増えた」と答えた【図表3】。利用した場所の上位には「食品・生活用品」「飲食店」「ドラッグストア」「家電量販店」「美容院・サロン」などが並んだ。商店街など地域経済の活性化に役立っているわけだ。
さらに、利用経験者にデジタル地域通貨の満足度を聞くと、「満足」(31.0%)と「やや満足」(46.5%)を合わせて、「満足」と答えた人は8割近く(77.5%)に達した【図表4】。