プロ野球巨人を退団した中田翔内野手(34)の去就に注目が集まっている。フリーエージェント(FA)権を保有していた中田は権利を行使せず、巨人と2年の契約を残していたが途中で契約破棄できるオプトアウトにより退団。複数の球団が移籍先候補に挙がるなか、楽天の元ヘッドコーチで巨人、ヤクルトなどのコーチを歴任した橋上秀樹氏(57)はJ-CASTニュースの取材に「中日が本命」との見解を示した。
「山川選手のために組んだ予算を回せばスムーズに行くと思います」
日本野球機構(NPB)は2023年12月1日に自由契約選手を公示し、巨人の保留者名簿から外れる中田は他球団との交渉が解禁となる。移籍先の候補に中日、ロッテ、楽天が挙がり今後の動向が注目される。
橋上氏は「新聞報道などで何球団か候補に挙がっているが、今の流れでいくと中日が本命だと思います」とし、中日のチーム事情を踏まえた上で持論を展開した。
「中日はFA宣言した山川(穂高)選手に関心を示していたという報道も出ていましたし、それに備えての予算を組んでいたと思います。山川選手の去就はまだ決まっていませんが、中田選手とポジション、役割がかぶる。中田選手を獲得するとなれば、山川選手のために組んだ予算を中田選手に回せばスムーズに行くと思います。特に補強しなくてはいけない中日の得点力というところでは1番ハマる選手。結構な上積みが期待できる」
中日は今オフ積極的に戦力補強を行い、前巨人・中島宏之内野手(41)、前ソフトバンク上林誠知外野手(28)、前阪神の山本泰寛内野手(30)、板山祐太郎外野手(29)を既に獲得した。
橋上氏は「金額的なことを考えれば控え選手や入団が決まった中島選手らと担うべき役割が違う」とし、「中日の場合は圧倒的に攻撃力が足りていないので、どんな形でもよいから攻撃力を補充したいところでしょう。来シーズン優勝とまではいかないがAクラスに向かうために1番の補強は攻撃力です。そうなると外国人選手も大事ですが、当たり外れがあるので、国内で何年もやってキャリアがある中田選手は恰好だと思います。中田選手の勝負強さに期待していると思います」
「中日の戦力が足りていないのは誰の目にも明らか」
さらに「打順は4番でしょう。今季は若くてクリーンアップを打っていた選手がいましたが、いかんせん経験不足などを感じました。中田選手が打線の中心に入ることによって両脇を固める日本人の若い大砲候補が色々な面で得るものがあると思う。戦力としてのプラスアルファと、細川(成也)選手や石川(昂弥)選手など今後中日を引っ張っていくようなバッターに良い影響を与えてくれることを期待しているかもしれません」とした。
中田の今季年俸は3億円(金額は推定)で巨人との契約があと2年残っていた。中田獲得には億単位の年俸がひとつの条件になるとみられる。中田はスタメン出場にこだわりを持ち、レギュラーとして活躍できる球団が候補になる。
橋上氏は「中田選手は確かに戦力にはなるが費用対効果を考えた時にいまさら獲得しなくてもという球団があると思う」とし、「そうは言っていられない中日の戦力事情があるので、他の球団が積極的に取りにいかない選手でも色々な面でメリットがある。中日の戦力が足りていないのは誰の目にも明らか。これは立浪(和義)監督の責任ではなく、ある程度年月をかけてきた編成の失敗というのが明らかなので、何とか球団も多少なりとも支援したいと思っているはず」との見解を示した。
中日の本拠地がドーム球場であることも大きなポイントだとした。橋上氏は自身の現役時代、コーチ時代の経験を踏まえ環境の大切さを指摘。「候補に挙がっているロッテにしても楽天にしても本拠地は屋外球場です。中田選手は日本ハム時代からずっとドーム球場に慣れてきた選手ですので、夏の酷暑などを考えるとドーム球場が本拠地ということも大きなポイントだと思います。ドームと屋外では全然違いますから。屋外に慣れた選手ならばドームにきて本当にやりやすさを痛感しますが、逆は悲惨だと思います。春先にしても夏場にしても1年間ほぼ同じ状態で野球ができ、ウォーミングアップなども変えることなくできる。余分なことに気を使わなくて済むので野球に集中できるのが大きなメリットです」と解説した。