大リーガー・大谷翔平選手の経済効果は500億円超え――。関西大学・宮本勝浩名誉教授の試算によると、2023年は504億1008万円となり、22年の457億941万円を50億円弱上回った。今春開かれたワールドベースボールクラシック(WBC)で、「侍ジャパン」優勝の立役者となり、大リーグでは日本人プレーヤー初のホームラン王獲得と、大活躍だった。
「504億円」という金額、巨額過ぎてイメージしづらいかもしれない。調べてみると、ドーム球場や巨大タワーの建設費を上回るほどだった。
ドジャースに移籍したら643億円に跳ね上がる
「2023年・2024年の大谷翔平選手の経済効果の推定」は、2023年11月21日に発表された。大谷選手が得る年俸、スポンサー契約料、CM出演料、ファンが球場に応援に来て支払う観戦チケット代、飲食費、グッズ代、そして放送権料、日本からの観戦ツアーなどを主な経済への影響としている。
宮本氏は各種要因を計算した結果、大谷選手の直接効果は約233億3800万円、一次・二次波及効果を合わせた合計は約504億1008万円とした。
過去の試算によると、大谷選手の活躍による経済効果は年々上昇してきている。近年では、2021年が約240億円。この年はシーズン自己最多となるホームラン46本を打ち、日本人大リーガーとして、かつてニューヨーク・ヤンキースなどでプレーした松井秀喜さんを抜いた。
翌22年は、約457億円と発表していた。宮本氏によれば「日本の人気球団の阪神、 巨人、ソフトバンクなどが約70人の選手で1シーズンかかって優勝した時の経済効果と同じような金額」と説明していた。
大谷選手は現在、フリーエージェントだ。2024年シーズンは、他球団と契約する可能性がある。仮に人気の高いロサンゼルス・ドジャースに移籍した場合、観客増や年俸アップ、放映権料などを含めて経済効果は約643億6800万円に達すると宮本氏は推測している。
「国家事業」にも匹敵
500億円という金額がどのくらいの規模なのか、各種比較してみた。
まず映画の総興行収入。「フーテンの寅さん」でおなじみ、故・渥美清主演の「男はつらいよ」の1969年の初公開から2022年までの国内総興行収入が、515.1億円だった。
次に建設費用と比べてみよう。デイリー新潮の2020年4月20日付記事に、興味深い数字が載っていた。まずプロ野球、オリックス・バファローズの本拠地である京セラドーム大阪の建設費が、498億円だという。同球場は1997年に完成した。また、地上高634メートルの東京スカイツリー(2012年完成)の建設費は約400億円としている。これは単純比較で、大谷選手の経済効果より100億円ほど少ない計算になる。
国の事業でも、約500億円のレベルのものがある。少し前だが2013(平成25)年度予算で、国土交通省道路局が推進する「道路の老朽化対策」の費用が531億円、厚生労働省健康局の推進する水道施設の耐震化・老朽化対策等の推進が456億円だった。