マフィン食中毒、一度は購入額より少ない返金に「怒りを通り越して呆れました」 これは法的に「あり」なのか

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健康被害への請求はできるのか

   今回、ななみさんはマフィンを食べた後に健康被害が生じたと訴えている。マフィンの代金以外にも請求できる可能性はあるのか。

「まず、健康被害によって病院で治療することになれば、(1)治療費がかかりますし、通院又は最悪入院することになれば、(2)通院費用又は入院費用がかかります。健康被害によって仕事を休むことになった場合には、(3)休業損害も発生しますし、身体的苦痛又は精神的苦痛に対しては、(4)慰謝料を請求することも考えられます。なお、(5)一緒に購入したクッキーの代金については、マフィンとセットで購入したものであるならば、マフィンが安全でないことが分かればセットで購入することもなかったので、損害賠償の範囲内としてクッキーの代金分も請求できますが、クッキー単品である場合は、クッキーを食べたことと損害との因果関係が不明であるため、請求するのは難しいと考えられます。よって、請求できる可能性があるのは、(1)~(4)、(5)はマフィンとセットで購入した場合のみとなります。

どの費目を請求するにしても、マフィンを食べたことによって、どのような損害が発生して、損害との因果関係があることを裏付ける必要がありますので、診断書が必要となります。その他、(1)であれば、治療にいくらかかったのかを明白にするために診療明細、(3)であれば、健康被害がない状態と比較するために、給与明細や源泉徴収票、(5)であれば、マフィンとセットで購入したことを裏付けるために、レシートが必要と考えられます」

   しかしななみさんはマフィンの購入時、現金で購入し、「レシートはなく、必要かどうかも聞かれませんでした」という。レシートの発行義務について、正木弁護士は次のように説明した。

「民法486条1項において、『弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる。』と規定されているように、購入者は、商品の代金を受け取ったことを証明するレシートの交付を請求することができるのであって、販売者に交付義務はありません。そのため、レシートが発行されなかったとしても、法的に問題はありません。

しかし、レシートは、購入した商品に欠陥があったときに、販売者が当該商品を購入したことを裏付ける証拠となったり、損害賠償を請求する時に、損害額を計算する資料となったり等、購入者及び販売者との間でのトラブルにおいて非常に重要な役割を果たします。そのようなトラブルが起きないにこしたことはないですが、万が一に備えてレシートを発行してもらうことも重要といえるでしょう」
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