マフィン食中毒、一度は購入額より少ない返金に「怒りを通り越して呆れました」 これは法的に「あり」なのか

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500円しか返金しないとすれば「法的に問題があると考えられます」

   今回の出店者の対応について、J-CASTニュースは29日、弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士に見解を聞いた。

   当初、出店者は購入金額より少ない500円を返金しているが、法的にはどのような問題があるのか。正木弁護士はまず、今回の返金の請求について次のように説明した。

「今回の購入者が返金を求める行為は、民法566条に基づく損害賠償請求と法律的に位置づけられると考えられます。民法566条では、『売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。』と定められています。マフィンのような食品を口にしても身体に害悪を及ぼさないことは、明示的でなくても当然契約の内容に含まれることであり、マフィンを食べたことによって健康被害が生ずることは、品質に関して契約の内容に適合しないといえるでしょう。また、マフィンが販売されたのが早くても令和5年11月11日ですから、現時点でも1年も経っていないところで返金を求めていることも明らかです。そのため、今回の返金要求は、民法566条に基づく損害賠償請求の要件を満たしています」

   返金の請求は法的にもできる、ということだ。その上で、賠償範囲について次のように説明し、500円では法的に問題があるとした。

「法的に問題があるというのは、あくまで損害賠償として不十分という意味で、少ない金額を返金した行為についてさらなる責任が発生したり、犯罪に当たったりするという意味ではありません。

そのうえで、返金額については、損害賠償の範囲が問題となりますが、この点については、『債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。』(民法416条1項)と定められています。『通常生ずべき損害』とは、債務の不履行、すなわち契約が守られなかったことによって、社会通念上、通常に発生する損害と解釈されており、 契約類型や、当事者間の認識、当事者の属性、取引の内容や方法等を総合的に考慮して判断します。すでに述べたとおり、購入者は品質的に安全であることを前提に購入しており、事前に安全でないことを知っていれば購入しなかったことから、マフィンの代金相当額は、『通常生ずべき損害』に含まれるといえるでしょう。よって、マフィンの代金が660円であるにもかかわらず、500円しか返金しなかったことは、『通常生ずべき損害』の賠償としては不十分であり、法的に問題があると考えられます」

   しかし、今回の対応では、スムーズではなかったものの購入金額が返金されている。

「金額的に不足していたことによって法的に問題があった状態を、不足分を返金することによって解消したのですから、スムーズに正しい金額を返金できなかったとしても最終的には法的に問題はありません」
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