管理職の求人・転職の増加は「日本型雇用の大きな転換点を示すメッセージ」
また、社会の「サービス経済化」が急激な環境変化をもたらしたと、藤井氏は述べる。サービス経済化とは、第一次産業から第二次産業、第三次産業に構造が変化し、経済活動の重心が「モノ作り」から「コト作り」に移行することだ。
こうした社会では、例えば、車というモノを作ることではなく、車を使ったサービス(コト・体験)を使うことが求められるようになる。藤井氏は、既存事業がコモディティ化しやすい特徴を持つサービス経済と管理職の採用動向の関係について「サービス経済化していく社会では、新規事業を早く試すために、新しいタレント(編注:スキルや知見のある人)を採用することがとても求められるようになっています」と見解を示す。
モノ作りからコト作りへと変化した社会では、事業が多様化していくため、組織も多様化しなくてはいけない。そのため、多様な事業に早く対応できるような形で多様な人材を確保する採用方法も求められているという。
藤井氏によれば、「外から新しい知見を得られること」が管理職をキャリア採用する最大の利点だ。一方、新しいリーダーが入社することに慣れていない日本では、外部の人材とのコミュニケーションが上手くいかないこともあるとし、社内の人材がこうした状況に慣れていく必要があると指摘する。
今後の管理職の求人・転職動向は「既存の事業でも人材が足りなくなって、新しい事業を推進するリーダーも、やはり増えていくと思います」と推測。藤井氏は「管理職の求人・採用が増えていることは本当に日本型雇用の大きな転換点を示すメッセージだなと思います」と話し、個人の働くチャンスが広がっていくとの期待感を示している。