小田急電鉄の取り組み「小児IC運賃を全区間一律50円」「小田急の子育て応援車」
小田急電鉄は、21年11月、子育て応援ポリシー「こどもの笑顔は未来を変える。Odakyu パートナー宣言」を策定。22年3月に全国初の「小児IC運賃を全区間一律50円」を実施し、「小田急の子育て応援車」の運用も開始した。
11月15日、取材に応じた小田急電鉄広報部は、小児IC運賃一律50円化の狙いについて、「お子さまに電車でのお出かけをより身近に感じてもらうとともに、ご家族や友人とのお出かけを通じて沿線の魅力に触れてもらい、ぜひ愛着を持ってほしいという想いで実施しました」と述べる。
「全国初の取り組みということもあって大きな反響があり、22年度の小児IC利用者数をみると、コロナの感染状況が低下したことに伴う利用者回復の影響もありますが、対前年で約4割増と大きく伸長したことから、外出需要の喚起につながったと考えています。さらに小児IC運賃の低廉化は、同伴する保護者の鉄道利用にも繋がっているという調査結果も出ているほか、低廉化をきっかけに、沿線自治体や、子育て応援に賛同する企業から協賛をいただく機会も増えています」
子育て応援車導入の意図については、「ベビーカーなどを抱え、電車の乗り降りにも苦労されているお客さまや、赤ちゃんが突然泣き出したりした際にも、気兼ねなく安心してご利用いただきたいという想いから運用を開始しています」とした。
21年5月に約1か月間、イベント列車として「子育て応援トレイン」を1編成運行し、好評だったことから導入を決定したと明かす。
子育て応援車は誰でも利用できる。一部を除く通勤車両の3号車の窓ガラスや乗降扉、貫通扉に子育て応援車であるとわかるような計24枚のステッカーを掲出している。ステッカーには「お子さま連れのお客さまに、安心してご乗車いただける車両です」「お子さま連れのお客さまを温かく見守っていただきますようご協力お願いいたします」などと記載されている。
「ご乗車されるお客さまのご理解とご協力を得ながら、こどもたちを育む温かい空間を目指しています」
利用客からは「子育て応援車という広告紙を拝見し、何だか嬉しくて涙が出そうになった」「もっと広めていただきたい」「もっと積極的にアプローチしていただきたい」という反響があると明かした。
23年4月からは、電車内での子育てにまつわる「ほっこりエピソード」を3パターン漫画仕立てのポスターにして、車内で紹介しているとする。
「子育て世代以外のお客さまからも応援をいただいており、地域全体で子育てを応援するという機運が、小田急沿線から醸成されているという手応えを得ています」
電車内での子育てにまつわるエピソードを掲出後には、様々な世代から子育てを応援するメッセージが届いたと明かす。
担当者によると、他にも鉄道を利用しやすい環境整備として、ハード面では、ベビーカーシェアリングサービス、ベビーケアルームを駅に設置することを進めている。
ソフト面では、駅係員に対して子どもに対する接客のあり方を示す「おだきゅうこども接客サービスポリシー」を策定。接客サービスの向上を図っていると明かした。