電車で泣く赤ちゃんへの「ブチギレ」騒動、子育てのしづらさ浮き彫りに 「不寛容な社会」に挑む3社の取り組み

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

   2023年10月下旬、電車内で高齢男性がぐずり出した赤ちゃんに激高する動画がX(ツイッター)に掲載されて注目を集めた(詳報:高齢男性、電車で泣く赤ちゃんにブチギレ 親に「人間失格」と大暴れ、制止されるも「甘やかすから日本が駄目になる」...緊迫の一部始終)。

   記事には、子どもを持つ親から「同じような体験をした」という旨の共感の声が多く寄せられた。そんな中、社会全体で子育てを応援しようと機運醸成に取り組む企業もある。

  • 写真はイメージです
    写真はイメージです
  • 電車内で激高する高齢男性(投稿者提供)
    電車内で激高する高齢男性(投稿者提供)
  • 電車内で激高する高齢男性(投稿者提供)
    電車内で激高する高齢男性(投稿者提供)
  • WEラブ赤ちゃんプロジェクトグッズ(ウーマンエキサイト公式サイトより)
    WEラブ赤ちゃんプロジェクトグッズ(ウーマンエキサイト公式サイトより)
  • 「子育て応援車」のステッカー(小田急公式サイトより)
    「子育て応援車」のステッカー(小田急公式サイトより)
  • 東海道新幹線「多目的室案内サービス」(JR東海2023年8月8日プレスリリースより)
    東海道新幹線「多目的室案内サービス」(JR東海2023年8月8日プレスリリースより)
  • 写真はイメージです
  • 電車内で激高する高齢男性(投稿者提供)
  • 電車内で激高する高齢男性(投稿者提供)
  • WEラブ赤ちゃんプロジェクトグッズ(ウーマンエキサイト公式サイトより)
  • 「子育て応援車」のステッカー(小田急公式サイトより)
  • 東海道新幹線「多目的室案内サービス」(JR東海2023年8月8日プレスリリースより)

ウーマンエキサイトの「WEラブ赤ちゃんプロジェクト」

   ママ向けウェブメディア「ウーマンエキサイト」は、2016年5月に「WEラブ赤ちゃんプロジェクト」を発足させた。赤ちゃんの泣き声を温かく見守っている人がいることを可視化する「泣いてもいいよ!」ステッカーを作成した。

   11月13日、J-CASTニュースの取材に応じたウーマンエキサイトの担当者は「WEラブ赤ちゃんプロジェクト」は、赤ちゃんが泣くことを許してほしいという意味合いではなく、赤ちゃんを温かく見守っている人たちの声を可視化するためのものと話す。

「保護者の方もできるならば泣き止ませたいけれど、初めての育児に戸惑いわが子の泣き声に焦ってしまったり、お腹が空いた、オムツを変えてほしい、など赤ちゃんの要求に応えられないタイミングで泣き出してしまったり、瞬時に泣き止ませることが難しいケースがあるのも事実です。
また、ポジティブな声というのはなかなか表に現れにくく、SNSやネットニュースで見たネガティブな情報にかき消されてしまうことも。誰かの『うるさい!』という怒鳴り声や、冷ややかな視線は、たった一回であろうとも親たちの心に深く刺さり、それ以降、多くの保護者の目には、世の中全体がひどく冷たく、厳しいものに感じられてしまうこともあるかと思います」」

   「WEラブ赤ちゃんプロジェクト」を導入した経緯については、次のように述べる。

   エッセイストの紫原明子さんがカフェにいた際、向かいにいたベビーカーの赤ちゃんが泣き出してしまい、母親が懸命にあやして周囲に申し訳ないと思っている様子だった。紫原さんは、自身の子どもが小さい頃フードコートで泣いてしまい、「うるさい人は出ていってください」と知らない中高年男性に言われた。その経験から「私は赤ちゃんの泣き声は嫌じゃありませんよ」と伝えたかったが、ジロジロと母親を見ると「うるさい」と思っている人だと勘違いされると思い、何もできなかった。そこで、ウーマンエキサイトと共に始めたのが「WEラブ赤ちゃんプロジェクト」だった。

   立ち上げに関わったスタッフは当時1歳の子どもがいたこともあり、紫原さんの「泣いてもいいよ」という気持ちが嬉しかったが「本当にいいのだろうか」と思った。しかし、温かい声を可視化することで、その声に応援され子育てを頑張れる母親や父親がいるのであれば、プロジェクトが子育ての一助になるのではと考えた。

   その後、プロジェクトの公式ホームページには8万以上の個人賛同が集まるだけでなく、多くの企業、自治体も賛同していると明かした。

   立ち上げ時、30人にステッカーをプレゼントする企画を行ったところ、900人以上の応募があった。「赤ちゃんの泣き声は嫌じゃない、応援したいと思っていた」「子育ては一段落したけれど、子育て世代を応援したい」「学生で、ママ・パパたちがこういったことに悩んでいるとは知らなかったから応援したい」などと様々な世代から応援メッセージが届いた。

   最近は、ステッカーを配るだけでなく、プロジェクトに賛同している自治体と連携して、子連れで出かけやすい場所を増やす取り組みをしている。

   高校の家庭科の教科書にプロジェクトが掲載されたり、京都府でラッピングバスを走らせたり、福島県内で交通広告などのPRをしているという。東京で唯一賛同している世田谷区では、ラグビーチーム「ブラックラムズ東京」の試合前にPRをしている。京都府では、サッカーチーム「京都サンガF.C.」、バスケチーム「京都ハンナリーズ」の試合でPRしているほか、会場の一部にオムツ替えができたり赤ちゃんが遊べたりする場所をモデル的に設けるなど、赤ちゃん連れでスポーツ観戦ができる席を展開した。

姉妹サイト