今後は「使用者側へのプレッシャーが強くなっていく」
社内で圧力を受けた場合の対応は、もし次の就業開始時期に多少の融通が利くのであれば、退職日を後ろ倒しにしたうえで、すべての有給休暇を消化する手がある。
退職日の変更が難しければ、消化できない有給休暇の買取りを使用者側に請求することも考えられるという。ただ法律上、使用者に買取りの義務があるわけではなく、買取り価格や算定方法も決まっていないため、「あくまでも金額は使用者側との交渉になります」。
「万が一、上記のような交渉にすら応じてもらえない場合には、上記労基法違反について労働基準監督署に相談するのがよいでしょう」と助言する。有給消化をめぐっては下記のような見解も伝えた。
「労働者が計画的に有給休暇を取得し、心身とも健康な状態を維持しながら働くことは、労働者の生活の経済的安定や、ひいては国の医療費削減にもつながる重要事項と認識されています。したがって、労働者の有給休暇の取得については、今後ますます、使用者側へのプレッシャーが強くなっていくものと思います。
一方で、労働者の事業の正常な運営を妨げる態様での有給休暇の取得が制限されていることを、忘れてはいけません。退職する際には、労働者側としてもできうる限りの引継ぎを行うなど、配慮が必要であると思います」