アフターコロナになり、遊園地やテーマパークは活況――全てがそうとは言えないようだ。東京都江東区にあるミニチュアフィギュアミュージアム「SMALL WORLDS」の運営会社が2023年11月14日、東京地裁に破産申請を行い、破産開始決定を受けた。負債総額は、債権者36人に対して約39億円。
一方で、東京ディズニーリゾートをはじめ、売上高が急回復している遊園地・テーマパークもある。何が明暗を分けたのか。
コロナ拡大で集客厳しく債務超過
「SMALL WORLDS」は2020年6月にオープン。ミニチュアフィギュアで「宇宙センター」や「世界の街」といったエリアに分かれ、アニメーションとタイアップした展示を行っていた。東京商工リサーチ23年11月15日の発表によれば、営業収入の大半はチケット販売で、同年12月期には売上高3億7079万円を計上した。
しかし、新型コロナ感染拡大による事業環境の著しい変化によって集客が厳しくなり、2022年12月期には売上高5億366万円に対して、8億9421万円の最終赤字を計上し、債務超過が続いていた。そして、10月31日付で商号を「有明清算」に変更し、破産申請を行った。
なお、「SMALL WORLDS」自体の運営は事業を譲り受けた別会社によって継続している。
ただし、遊園地・テーマパーク運営会社は全般的に業績が回復しているようだ。東京商工リサーチの2023年10月30日発表のリポートによれば、22年度の最終損益は、134社のうち黒字が102社(構成比76.1%)となった(図1)。入場者数の増加に加え、直営の食堂や売店の利用者が増加し、客単価が上昇するなどで利益を上乗せし、黒字を計上した企業が多かったという。
調査元が集計した売上高ランキング(図2)によると、トップはオリエンタルランド(東京ディズニーリゾート)が4105億3200万円で、前年比77.7%増となっている。入場者数の上限引き上げで、2022年度の来場者数は2208万9000人で前年比83.2%増。ゲスト一人あたりの売上高は1万5748円と、過去最高水準だった。
次いで、バンダイナムコアミューズメント(ナムコ・ナンジャタウン)が795億7,900万円(前年比21.8%増)、富士急行(富士急ハイランド)225億1,100万円(同10.2%増)となっている。
立地やインバウンド取り込みが影響
黒字と赤字の明暗を分けたポイントを、J-CASTニュースBiz編集部は東京商工リサーチの情報部に聞いた。
「『SMALL WOLD』の開園日が2020年というコロナ禍の真っただ中だったため、広報による集客が難しくなったことが、赤字経営に陥ったポイントではある。
また、ディズニーリゾートのような超有名なテーマパークでは集客に悩む必要はないが、九州や四国などの遊園地では集客が苦しく赤字になっているところもあり、インバウンドの恩恵によって明暗はかなり分かれている」