サイバーエージェント藤田社長「自社のカルチャーと相性が悪い」
この調査が掲載された「フレックスレポート」の冒頭には、「リモートワーカーは本当に生産性があるのか?」という疑問とともに、有名企業の経営者が柔軟な働き方に否定的な見解を持っている例をあげている。
具体的には、世界有数のグローバル総合金融グループJPモルガン・チェースCEOのジェイミー・ダイモン氏や、世界最大の資産運用会社ブラックロックCEOのスティーブ・シュワルツマン氏、豪CRコマーシャル・プロパティ・グループCEOのニコール・ダンカン氏らだ。
ダイモン氏は、リモートワークは「誠実さと意思決定を遅らせる」と発言。
ダンカン氏も、オフィスに戻りたがらない若手のミレニアル世代やZ世代を「利己的だ」と批判している。
これらのリーダーが率いる会社は高い成長性を誇っており、少なくとも「働く場所の柔軟性の低いすべての企業は、成長性が低くなる」とも言い切れない。
日本の会社でも、例えばサイバーエージェントは2020年3月末から完全リモートワークに移行したものの、同年6月より原則をオフィス業務に戻した。
藤田晋社長は自らのブログで、リモートワークのメリットを認めつつ、「一体感、チームワーク」が損なわれることや「かなり極端に成果主義、個人主義に振らざるを得なく」なることをデメリットにあげ、自社の根本的なカルチャーと相性が悪いと評している。
一方で、従業員側は「柔軟にリモートワークができると生産性が向上する」と感じている。Owl LabsがGlobal Workplace Analyticsと共同で行った調査では、従業員の62%が「在宅勤務の方が生産性が高い」、52%が「働く場所が選べるのであれば5%超の減給も受け入れる」と答えている。
フレックスレポートは「この論争に決着をつけるために」ボストン・コンサルティング・グループと共同で調査分析を行ったとするが、結論を出すにはまだ材料が足りないのではないだろうか。