サケとサンマ不漁続きでどんどん高価に 乱獲で激減したニシンの「二の舞」避けたいが

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   サケとサンマの不漁が心配だ。全国さんま棒受網漁業協同組合によると、2023(令和5)年度のサンマの単価は4893円/10キロ。10年前の3倍強にまで値上がりしている。

   一方、2019年に1500万尾と過去最低の漁獲量となったサケ。今年は3000万尾程度の予測だが、最盛期には遠く及ばない。

   過去、乱獲によって数を減らしたニシンのように、大衆魚のサケ・サンマも高級魚となってしまうのか。

  • 秋サケの競りの様子
    秋サケの競りの様子
  • 図1 さんまの水揚量(年)の推移(全国さんま棒受網漁業協同組合の作成)
    図1 さんまの水揚量(年)の推移(全国さんま棒受網漁業協同組合の作成)
  • 図2 本道の秋さけ沿岸漁獲状況(令和3年度不漁対策検討会資料)
    図2 本道の秋さけ沿岸漁獲状況(令和3年度不漁対策検討会資料)
  • 秋サケの競りの様子
  • 図1 さんまの水揚量(年)の推移(全国さんま棒受網漁業協同組合の作成)
  • 図2 本道の秋さけ沿岸漁獲状況(令和3年度不漁対策検討会資料)

サンマの値段は10年前の3倍

   全国さんま棒受網漁業協同組合の公開しているデータによると(図1)、2008年には35万トン近くあったサンマの漁獲量だったが、そこから減少傾向になり、22年には1万7910トンにまで落ち込んでいる。14年間で約19分の1に縮んでしまった。

   さらに、同組合の公開する「対比さんま水揚状況 (2023年10月31日現在)」によると、23(令和5)年のサンマの単価は4893円/10キロとなっている。これは、2013年(平成25年)の1552円/10キロと比べ、3倍程度の値上がりだ。

   北海道の秋サケの漁獲量も見てみよう。北海道連合海区漁業調整委員会が作成し、水産庁「不漁問題に関する検討会」のウェブサイトに掲載された資料によると、2003(平成15)年は5647万尾だったが、20(令和2)年度は1573万尾と激減した(図2)。

   23年11月上旬の速報値では、オホーツク、根室、えりも以東、えりも以西、日本海で獲れた秋サケをあわせると22年同期の2902万尾の65.4%となる1898万9000尾だった。北海道総合研究所機構水産研究本部の予測では、23年の「全道への秋サケ来遊数は3483万尾」で、昨年度ほどの漁獲量を見込む。

   本州でも、今年のサケ漁は振るわない。例えば宮城県。「10月31日時点の石巻地方の沿岸漁獲量は約930匹で、記録的不漁だった前年同期(約8500匹)の約1割と深刻な状況」(河北新報2023年11月18日)。また新潟県は、「サケのまち・村上市で『死活問題』サケ水揚げが例年の5分の1」(UX新潟テレビ21・11月10日)といった報道がある。

明治は100万トン、令和は1500トン

   水産庁の公開している資料では、近年のサケの不漁について以下の点を指摘している。

・サケ稚魚に適した水温帯の継続期間が短縮・形成時期が変化
・水温の上昇により、サバ等の捕食魚と分布域が重なり、捕食圧が増加、生残率の悪化

   サンマやサケとは状況が異なるかもしれないが、日本には、かつて一般家庭に親しまれた魚が激減した例がある。ニシンだ。今でも京都名物の「にしんそば」など、食卓から消えたわけではない。正月のお節料理に欠かせない「数の子」は、ニシンの魚卵・卵巣だが、高価な食材といえるだろう。

   ニシン漁の最盛期だった1897(明治30)年には、年間約100万トン水揚げされていた。2023年2月20日の段階では、1531トンまで減少している。

   ここまで漁獲量が減ったのは、明治・大正期に資源管理の方法もなく乱獲したのが原因。昭和初期から減りはじめ、1950年以降はほとんどとれなくなったという。ニシンが枯渇してしまったという見方が常識的だ。

   当時はニシンを煮て圧縮した肥料である「ニシン粕」が菜種や綿花栽培に使われていた。現在のニシンの価格は500円/キロ。かつてとは状況がずいぶん変わってしまった。

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