若者よ「シングル高齢者研究」結果を見よ 男性のうち経済困窮1位は未婚、一方、ポジティブ1位は未婚女性

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女性はライフイベントを経てもしっかり働き、リスクマネジメントを

――若い女性にはどうアドバイスしますか。

坊美生子さん どのようなライフコースを選択するかは、もちろん個人の自由です。結婚するかしないか、どのように働いていくかは、その人の考え方によります。

ただ若いうちから理解しておいてほしいのは、雇用の場合、現役時代の年収の水準は、老後の年金の水準に反映されるということです。現在の高齢者で、男女に大きな年金格差が見られるのは、現役時代の賃金格差が大きかったからです。

近年は、結婚・出産・育児を機に会社を退職する女性は減りました。ただ、より詳しく状況を見ると、育休復帰後に、正社員からパートに雇用形態を変えたり、基幹的な業務から補助的な業務に移ったりする女性はたくさんいます。日本ではまだまだ性別役割分業意識が根強く、家事育児の負担が妻に偏っているからです。

でも、キャリアダウンによって給料の水準が下がれば、老後の年金の水準も下がります。いったん退職してしまうと、35歳を超えてから、女性が正社員として再就職するのは、まだまだ厳しいというのが現実です。また、万が一離婚すると、これまでに説明してきた高齢の離別女性のように、経済的状況が厳しくなるリスクが高まります。

若いうちは、目の前の仕事や、結婚などで頭がいっぱいで、老後のことまでは、イメージが湧かないという人も多いでしょう。でも生きている限り、「老後」はいつかやってきます。様々なライフイベントを経ても、しっかり働き、安定した収入を確保することが、女性自身のリスクマネジメントにつながると言えます。

(J-CASTニュースBiz編集部 福田和郎)


坊 美生子さんプロフィール

ニッセイ基礎研究所生活研究部准主任研究員 2002年読売新聞大阪本社入社、2017年ニッセイ基礎研究所入社。
専門・研究分野 高齢者の移動サービス・交通政策、高齢者の消費、ジェロントロジーなど。

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