「ポジティブ高齢者」最前線を走る「未婚女性」
――逆に言うと、「未婚」の女性には、男社会の中で働き続けたという誇りや自信があるわけですね。社会学者の上野千鶴子さんの「おひとりさまの老後」シリーズが未婚女性のバイブルになって脚光を浴びています。
坊美生子さん 「おひとりさまの老後」が、これまでマイノリティーと見られてきたシングル高齢者を主題に取り上げ、目を向けさせた功績はとても大きいのではないでしょうか。
私の調査からも、未婚女性の前向きでアクティブな、「長生きする気満々」の姿が浮かび上がってきています。たぶん、家庭を持たなかった分、さまざまな趣味や、気心の知れた友人との旅行などを楽しんで、人生を充実させることが得意なんだと思われます。
たとえば、1日のウォーキングの時間を調べた調査では、1日に「60分以上」歩く割合は、未婚女性が約6割(58.1%)で、男女全体で最高です。ところが、未婚男性はわずか35.3%と、男女全体で最低でした【図表3】。
また、「何歳まで生きたいか?」という希望する寿命を聞いた調査でも、「90歳以上」という回答が未婚女性では約5割(51.6%)に達して、男女全体で最高です。ところが、未婚男性はわずか17.6%と、こちらも男女全体で最低でした【図表4】。
未婚女性は「人生100年時代」の「ポジティブ高齢者」の最前線を走っていると言えるでしょう。ただ、そんな未婚女性でも、堅実に生活して計画的な備えができている割には、病気やケガに対する経済的な不安を抱えていることは確かです。