「フリック入力」15~24歳女性が断トツに多い ガラケー世代の「トグル」だとスマホ生活に差が?

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   あなたはスマホで文字を打つ時、どんな入力方法を使っていますか。

   NTTドコモの研究機関、モバイル社会研究所(東京都千代田区)が2023年11月9日に発表した調査「【ライフスタイル】15~24歳女性の約半数がフリック入力を利用」によると、素早く入力できる「フリック」を使っている人ほど、あらゆるスマホサービスの利用率が群を抜いて高いという。

   入力方法の違いからスマホ生活に大きな差が出るとは......。改めて、自分の入力方法を考え直してはいかが。

  • スマホ操作をする女性
    スマホ操作をする女性
  • (図表1)フリック入力している人の割合(モバイル社会研究所調べ)
    (図表1)フリック入力している人の割合(モバイル社会研究所調べ)
  • (図表2)フリック入力の有無と、スマホ各種サービスの利用率の差(モバイル社会研究所調べ)
    (図表2)フリック入力の有無と、スマホ各種サービスの利用率の差(モバイル社会研究所調べ)
  • スマホ操作をする女性
  • (図表1)フリック入力している人の割合(モバイル社会研究所調べ)
  • (図表2)フリック入力の有無と、スマホ各種サービスの利用率の差(モバイル社会研究所調べ)

今風のフリック、ガラケーのトグル、PCのフルキー

   スマホの入力方法には主に次の3つがある。

   (1)フリック入力=スマホ独特の文字入力方法で、キーを指ではらう(フリックする)ことから命名された。「あ」「か」「さ」「た」「な」...と表示されたキーのうち、たとえば「あ」のキーをタッチすると、その上下左右に「い」「う」「え」「お」の文字が表示される。

   その状態で、入力したい文字の表示された方向に指をスライドさせて離すことで、その文字が入力できる。

   (2)トグル入力=いわゆる「ガラケー」に似た入力方法。「あ」「か」「さ」「た」「な」...と表示されたそれぞれのキーは、タップするごとに「あ→い→う...」と変化していく。

   たとえば、「く」を入力したい場合は、「か」のキーを3回タップすると「か→き→く」と文字が変化するため、タップするのをやめるか、別のキーをタップした時点で「く」が入力される。

   (3)フルキー入力=パソコンのキーボードに似た入力方法。「かな」の場合はローマ字入力ができ、英字の場合は入力した文字が直接反映される。

   皆どの入力方法を使っているのか。J-CASTニュースBiz編集部が、さまざまな世代の男女に聞くと――。

40代男性(40代の妻と小学生2人)「もちろん家族全員フリック。感覚的には40代以下は、ほとんどフリックだと思うけどね」

40代男性(40代の妻あり)「妻はフリックだが、僕は慣れないから、携帯で使っていたカナ入力(トグル)。特に不自由はしていない」

40代女性「トグルです。若い子が電車の中でフリックしているのを見ると、『カッコいい~!』と思いますが、難しそうで無理」

50代女性(50代夫あり)「夫も私もフリック。最初に使ったスマホが、ソニーのエクスペリア(Xperia)で、ソニーのPOBoxという入力システムがとても便利だったから、ついでにフリックを覚えた。片手入力というモードがあり、キーボードを片方に寄せて入力できた。今ではどのスマホでもできるが、当時のソニーは技術がイケてた」

60代女性「普通のカナ入力(トグル)で、十分なのでは。短文とか出てくるし、文章を書いている気分になれるよ。よく文章が長すぎるといわれるけど...」

50代女性(30代娘あり)「娘も私もフリック。若い子みんなやっているから、見よう、見まねで覚えた」

70代男性「パソコンで慣れたフルキー入力。指が太くて、いつもキーを2つ以上押して苦労していたが、タッチペンを使うようになって助かっている。でも、電車の中ではさすがに恥ずかしい」

といった案配で、ひとそれぞれのようだ。

フリックが若い女性に多いのは、「1日4時間以上」スマホ漬け

   さて、モバイル社会研究所の調査は、15歳から79歳までのスマホ利用者5652人が対象。まず、「フリック入力を使っているか」と聞くと、男女ともに若年層になるほどその割合が高く、15~24歳の女性の約半数(47%)がフリック入力を利用していることが明らかになった。

   同じ15~24歳の男性が33%、25~39歳の女性が32%、25~39歳の男性が30%に比べると、ダントツに多いことが特徴だ【図表1】。

   次に、フリック入力をしているかどうかによって、スマホの各種サービスの利用率に違いがあるかを調べると、非常に興味深い結果が出た。

   【図表2】は、「SNS」「動画視聴」「ネットショッピング等」「地図・乗換・ナビ」「電子決済」「ゲーム」のサービスの利用率を調べた結果だが、どの年代でも、どのサービスでも、フリック入力を使っている人は利用率が平均よりも高く、使っていない人は利用率が低いことがわかった。

   これはどういうわけだろうか。J-CASTニュースBiz編集部は、調査を担当したモバイル社会研究所の小島誠也さんに話を聞いた

――フリック入力が、若い女性にダントツ多い理由(47%)は何なのでしょうか。同じ若者でも男性のほうが30%と、違い過ぎる理由がよくわかりません。ひょっとして、女性の指が細いから、やりやすいという面があるでしょうか。

小島誠也さん もともと若年女性はスマホの利用時間が長く、各種SNSを毎日使う割合が男性よりも高いことがわかっています。当研究所が発表した「モバイル社会白書2023年版」の調査結果でも、若い女性(10代~20代)のスマホ使用時間は「1日4時間以上」という人が約70%もいます。同世代の男性が50%前後ですから、利用時間の長さは群を抜いています。

たとえば、LINEを毎日利用する割合も90%前後で、同世代の男性の70~80%より多いです。インスタグラムに至っては毎日利用する割合は70~80%前後で、同世代の男性(40~50%)よりはるかに高いばかりか、30~40代女性(30~40%)の2倍以上といった感じです。

このことから、若い女性はスマホの利用機会が非常に多く、友人との連絡を頻繁に行っているため、素早く片手で入力できるフリック入力の利用が多いのでは、と推測します。

――年配になるほど、フリック入力が少なく、カナ入力のトグル入力などが多くなるのは、「ガラケー世代」という面があるのでしょうか。

小島さん はい。年配者はトグル入力やローマ字入力を使用している方が多いと推測されます。これは、わざわざフリック入力を使わなくても、ガラケーやパソコンの操作で慣れ親しんだ方法で事足りているのでしょう。

――フリック入力の人が、見事なほどにスマホサービスのあらゆる利用率が高い結果が出ましたね。ただ、スマホ操作に長じているというだけで、これほどの差が出るものでしょうか。

小島さん これまで述べてきたように、フリック入力を使用する人はスマホを日々長い時間使用している人であると予想されます。さまざまなサービスを利用し、日々スマホを多く利用する人にとっては、フリック入力を使って素早く文字入力ができることのメリットが大きくなります。

そのため、フリック入力を使っている人のほうが、さまざまなサービスの利用率が高いという結果が得られたと考えております。

(J-CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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