選挙取材歴25年のフリーランスライター、畠山理仁(みちよし)さん(50)に密着取材したドキュメンタリー映画「NO 選挙,NO LIFE」(2023年11月18日公開)の先行上映イベントが11月14日に都内の映画館で開かれ、畠山さんらが舞台あいさつに登場した。畠山さんは「候補者全員を取材できなければ記事にしない」のが方針で、その成果をまとめた「黙殺 報じられない『無頼系独立候補』たちの戦い」(17年、集英社)などの著書が有名だ。
舞台あいさつには、畠山さんの「弟子」を自任する時事芸人のプチ鹿島さんとラッパーのダースレイダーさんも登場。畠山さんの取材の意義について語り合った。
「それこそ、大手紙とかでは『泡沫候補』みたいな言い方で切って捨てられる」
作品では、22年の参院選と沖縄知事選を取材する様子に密着。参院選取材の舞台になった東京選挙区では34人が立候補した。多くの現場を回るため取材はハードで、ひとつの選挙取材で10キロやせるという。
登壇者の間で話題になったのが、終盤に登場する、ある参院選候補者のシーン。このシーンに「感動した」というダースレイダーさんが
「本当に『奇跡だ』って言うけど、ただ起こることはないと思うんですよ。畠山さんが取材してきた量があれだけあるから、あのシーンにつながるようなことがやっぱり起こるんだなというんで、誰にでも起こることではなくて...」
と取材の意義を熱弁すると、畠山さんは
「いやいや、誰にでも起きますよ!皆さん!」
と謙遜。ダースレイダーさんは
「話を聞こうとすれば実はできたけど、誰もやらなかったじゃないですか。畠山さんだけですよね。それこそ1対1になってるわけだから」
と続け、誰でも取材できるのに取材していないことがあるという点が、この映画を通じた「気づき」だと話した。
畠山さんは、多くの得票が見込めない中でも立候補する人々を「無頼系」「インディーズ系」候補者と呼ぶ。ダースレイダーさんは、そういった人々の存在を「勝手に、ないことにしている。僕らはそれをやってきた」と指摘。鹿島さんも
「それこそ、大手紙とかでは『泡沫候補』みたいな言い方で切って捨てられる。ちゃんと同じ供託金を払ってるんだから取材すべき」
と続けた。