高齢運転者による自動車の建物への衝突や、高速道路の逆走などがしばしば報じられる。警察庁の「平成29(2017)年中における高齢運転者による死亡事故に係る分析について」によると、免許人口10万人あたりの死亡事故件数では、75歳以上の平均は8.0件。75歳未満の平均3.4件と比べて死亡事故が倍以上発生している。
高齢運転者が負担する自動車保険料シミュレーションを通して金額を調べると、実は40代と70代ではそこまで大きな差はなかった。一方で80代になると、ぐんとアップする。
80代は70代より7万円高い
前出の「平成29(2017)年中における高齢運転者による死亡事故に係る分析について」によれば、免許人口10万人当たりの死亡事故件数は、75~79歳が「6.1件」、80~84歳は「9.1件」、85歳以上は「15.1件」となった。85歳以上の死亡事故件数は70~74歳(4.4件)の3倍以上だ。
 警察庁では75歳以上の人の免許更新時に運転技能検査、認知機能検査を実施する。「認知症である」と診断された場合は運転免許が取り消され足り、効力が停止したりする。それでも、高齢者の運転による死亡事故の件数は高い。
年齢が上がるとともに自動車保険の費用も高くなっている。大手損害保険会社の自動車保険料のシミュレーションを40代、70代、80代で行い、その結果を比較しよう。
40代:16万6390円/年
70代:17万7140円/年
80代:24万8510円/年
※条件:大手損害保険会社の自動保険計算サービスを利用。ブルー免許、令和5年11月から1年間。車両保険付き、対人対物無制限。
※車種:トヨタ アクア(初年度登録2018年)
40代と70代の年間保険料の開きは1万1000円程度の差だった。しかし、80代は年間24万円まで高くなり、70代より7万1000円も高い。
20代の保険料も高額
ただ、大手損害保険会社の担当者は取材に対して、「高齢者だから自動車保険が高くなるというのは誤り。20代の自動車保険の金額も高くなっている」と説明した。理由は、年齢層での事故リスクを保険料に反映する仕組みになっているからだという。年齢別事故数が統計的に高く運転リスクが増す年代だと判断されているからである。
シミュレーションの結果もそれを反映している。高齢者、特に80代は事故率が高いため、自動車保険も高額になっているというわけだ。
そのほか、車両保険適用時に部品・パーツを交換する場合、物価上昇やインフレの影響を受け部品の供給価格が高くなることで、その後支払う保険料が高くなることがある。最近では自動運転技術など車のハイテク化が進んでおり、バンパーにセンサーやカメラを搭載していることもある。そのため以前よりも修理費用が高くなり、事故後の保険料も高くなるのだ。