東京工業大と東京医科歯科大「合併」が決定 「東京科学大学」気になる入試科目を大胆予測

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   大学受験の時期まであと2か月ほどに迫る中、2023年10月31日に東京工業大学と東京医科歯科大学の合併が閣議決定された。既に22年8月、発表されていたものが正式に決まった形だ。

   合併は2024年10月1日を予定しており、名称は「東京科学大学」。両大学の各学部学科は当面維持されると報じられている。受験生にとって気になるのが、共に難関校として知られている両校が東京科学大学になった後、入学試験のレベルに変動が出るか否かだ。

  • 受験生にとっては切実な話!?
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初年度の偏差値は「あって無いようなもの」

   開学の時期から判断して、東京科学大学の初の一般入試が行われる時期は2025年になりそうだ。J-CASTニュースBiz編集部は、東進ハイスクールの数学講師として知られる住吉千波氏に取材した。

   両大学の合併で入試の偏差値に変動が起こるのか、また、学生のレベルに変化が生じるか。住吉氏は、こう答えた。

「まず、大学の偏差値は受験生が受けた模試の成績と合否の結果から決定するため、初年度はあって無いようなものです。また、医科歯科大は学部学科によって偏差値約50~70とかなり幅があるので、一括りに語るのは難しいです」

   東京医科歯科大は2学部4学科で、偏差値にばらつきがあるという。その上で、

「今回の合併は医工連携を目指した積極的合併で、それ以前も特に東工大はさまざまな制度などでどんどん改革を進めていた大学です。そのため合併による影響というよりは、そもそも東京科学大学が積極的に新しい体制や研究、もちろん募集にも力を入れるでしょうから、それにより偏差値や学生のレベルも上がっていくと予想されます。ただ、もとの両大学とも手軽に受けられる大学ではないため、急激に偏差値が上がることはあまりないかと思います」

と説明した。

学部ごとに出題科目・範囲は変わるか

   受験生にとって気になるのは、受験科目の変動の有無だ。現時点で、東工大の2次試験の内容は、「数学IA・IIB・III・英語・物理・化学」。一方、医科歯科大の医学部(保険衛生学科看護学専攻を除く)および歯学部歯学科の2次試験(前期日程)の内容は、「数学IA・IIB・III・英語・物理、化学、生物から2つ」だ。合併後、学部ごとに出題科目の増減や出題範囲の拡大・縮小が起きたりするのだろうか。

   住吉氏は、東京科学大学に設置される医学部(保険衛生学科看護学専攻を除く)と歯学部歯学科の数学の出題範囲について、「『2024年度中に合併』が実現されれば,2025年度入試から東京科学大学となりますが,そのタイミングで新課程入試が始まります。それに伴って、科目の枠組みが変わった数学に関しては従来の『IA・IIB・III』から『IA・IIB・IIIC』になり、共通テストでは『情報』も科されると、両大学から予告があります」。一方、上記以外の学科(医学部保険衛生学科看護学専攻、歯学部口腔保健学科)も含めて、「学位や教養課程について、『大学統合時は変更しないが、その後は2028年3月までに組織改変も含めて議論を進める』とされているので、初回より後の入試ついては、それに伴った変更や、一本化などもないとは言い切れません。一方で、学部によって試験が異なり、両者のカラーが保たれる可能性も十分にあると思います」との考えを示した。

   理科については、東工大側の学部に変動はないのではと予想しつつ、医科歯科大側の医学部と歯学部については現状通りの「物理、化学、生物から2つ」の可能性に加え、仮に、後に一本化されることとなれば、「物理・化学」と、東工大寄りになる可能性もないとは言えないと指摘した。

「東工大のカラーがなくなることはない」

   住吉氏は、両大学の合併後に発生し得る入試の変化についても述べた。まず指摘したのは、両校の数学の問題の個性についてだ。

「東工大の数学は、配点が2次試験の40%(=共通テストは2段階選抜にしか使われないので全試験の40%)を占め、試験時間も5問で180分と長くかなりの比重が置かれており、発想力も必要で難易度の高い試験です。医科歯科大も同じく難易度は高いですが、高度な処理能力が求められる問題で、90分3問で配点の比重も特に高くはなく、両者のカラーは異なります」

   その上で、住吉氏は数学の入試問題の作成の過程について、「もし一本化された場合、数学を重視している東工大側が作成することになる可能性が高い。少なくとも東工大のカラーがなくなることはないだろうと思います」と予想した。

   東京科学大学を志望する受験生にとっては、2026年度入試以降の出題傾向が変化する場合、その発表がいつになるか不安かもしれない。これに対しては、

「少なくとも形式的なところについては、受験生の準備に影響のないように、遅くとも2年ほど前には公表に努めるようになっています。その上、大学としても募集に影響を及ぼしたくないでしょうから、早くに決まって公表されることが予想されるので、あまり心配する必要はないかと思います」

と述べた。

(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)

(2023年11月27日追記)記事中の住吉千波氏によるコメントの一部について、2025年度入試の発表に関する記述などを修正しました。また「医科歯科大には数学の専門家が恐らくいないため」という記述は誤認があり、削除しました。関係者の皆様にお詫びします。

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