「低料金」と「容量」の二兎を追う格安スマホ
――格安スマホは、どういう頑張りの取り組みを行なっているのですか。
調査担当者 若年層は他の年代と比べて契約している容量では「無制限」や「16GB~20GB」が多く、容量を使うことが分かっています。さらに、乗り換え・プラン変更を検討している理由では「料金が高いから」がトップにきており、「安い料金」を求めています。
そんな欲張りな要求に応えるため、容量が多く、かつ料金が安いことに頑張っており、支持を得られるかと思います。最近では「NUROモバイル」が15GBで低価格の新料金プランを発表し、容量と安さを求める人に向けたものを提供しています。
――大手と戦うには、そのくらい身を削る努力をしていうわけですね。ところで、格安スマホだけの利用率とシェアの推移をみると、「OCNモバイルONE」が独走状態ですが、なぜですか。「OCNモバイルONE」のどこが魅力なのでしょうか。
調査担当者 「OCNモバイルONE」を運営するNTTレゾナントがNTTドコモに吸収合併されましたが、2021年10月にドコモが「エコノミーMVNO」を発表し、「OCNモバイルONE」がその役割を担っています。
また、2021年12月から大規模なテレビCMを展開、女優の石原さとみさんを使っていました。格安スマホがテレビCMを大々的に行うのは珍しく、このプロモーションとドコモショップでの店頭契約が、高いシェア増加に寄与したと思います。
――その「OCNモバイルONE」ですが、かつてMMD研究所が行った「大手キャリアのシェアと満足度調査」の結果同様に、シェアではトップなのに、総合満足度では逆転されていますね。これはどういうわけでしょうか。
調査担当者 シェアが高まり、新規ユーザーが増えてくると、どうしてもライトユーザーも多くなります。ユーザーの多さと、満足度は相関関係にありません。だから、シェアが多くなると、満足度が低下する傾向は避けられません。
そのうえ、MMD研究所の総合満足度は「料金」「サービス」「通信品質」「顧客サポート」の比重を聞いています。1位の「イオンモバイル」はスーパー・イオンの全国店舗を有する顧客対応、1GB刻みの分かりやすい料金プランなどが支持されており、2位の「IIJmio」は料金や端末セール価格の魅力、技術力に裏付けられた情報発信や対応力が評価されています。
「OCNモバイルONE」は、これらの4つの項目で1つも1位を取っていません。つまり、全体的にバランスよく平均点以上というわけで、突出した魅力がなかった点が総合満足度で1位になれなかったと思われます。