冬のボーナス予想「民間企業の平均40万1438円」は高いか、低いか 研究者がズバリ答えた

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予想を上回る物価高が、経済回復の足を引っ張る

――それだけボーナスがもっと上がる条件がそろっているのに、なぜ、企業は出し渋っているのでしょうか。

丸山さん 注目すべきは、ボーナスをもらうことができる支給労働者の割合の数字です。昨年冬は全労働者の82.6%でしたが、今冬は0.2%減って82.4%と予想しています。この数字は今夏のボーナスでも下がりました。ボーナスを出せない企業が増えているということです。

理由は、企業の予想をはるかに上回る物価高が収まらないこと。厚生労働省が11月7日に発表した9月の毎月勤労統計調査を見ても、現金給与総額(名目賃金)に物価の変動を反映させた実質賃金は、前年同月より2.4%減となり、マイナスが18か月連続となっています。

「コロナ禍から立ち直って経済が正常化した」と言われますが、正常化にはまだ至っていません。実質賃銀だけでなく、名目賃金を見ても、正常化というほど上がっていません。経済回復を物価高が足を引っ張っているのです。

企業としてはボーナスを出しているつもりだと思います。ただ、長く続いたデフレ状態、そしてコロナ禍を経験したため、「経常利益がよくなったからといって、いきなり大盤振る舞いはできない」と、賃上げのマインドが消極的になっていると思われます。

――今後は来年の賃上げがどうなるかが焦点になりますね。

丸山さん はい。このまま、実質賃銀のマイナスが続くことになれば、個人消費が再び落ち込んでしまいます。現在の回復状態を支えているのは、国民が、コロナ禍の中で消費を抑えて貯金に回した「強制貯蓄」を取り崩して使っているからです。

来年(2024年)の春闘がポイントになります。今年の春闘の賃上げ率3.6%は、バブル絶頂期の1990年ごろに匹敵します。2年連続で大幅賃上げに成功して、物価上昇の勢いを上回ることができるかにかかっています。

上回ることができれば、賃上げと物価上昇の好循環が生まれて、デフレから脱却することができます。企業にとっても労働者にとっても、「何としても物価高を上回るのだ」という「勢い」が必須条件になります。

――その点、国家公務員の冬のボーナスは、民間企業に比べてウハウハの感じがしますが。

丸山さん 国家公務員のボーナスは昨年よりに2.8%増で、高いように見えますが、民間企業の相場を反映したかたちで給与法を改正して支給されます。民間より1年~1年半のタイムラグがあります。民間企業がコロナ禍直後に急上昇した分が、ようやく今、遅れてやってきたということです。

(J-CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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