コロナ禍で突然採用された「リモートワーク」。ムダな通勤時間もかからないし、通勤電車に乗らなくて楽だと喜んでいた矢先、会社から「原則出社せよ」とのお達しが来て、うんざりしている人もいるのでは?
出社指示をきっかけに転職した人もいるようだ。ITエンジニアを対象としたある調査では、週の出社日数が少ないと転職意向が低くなる傾向がある、という結果が出た。
30代男性「成果で評価できない会社で働けない」
この調査は、サーバーワークス(本社・東京)が全国に住む20歳以上の企業に勤めるエンジニア537人を対象に実施したもの。現在の出社頻度を尋ねたところ、週5日出社しているエンジニアは41.3%にとどまり、フルリモートは14.2%を占めた。
出社の頻度について「自分で決められる」と答えた人も55.3%と過半数に。コロナの収束にもかかわらず、エンジニアの出社を柔軟にしている職場は意外と多いようだ。
最も転職意向が低かったのは「月2~3日出社」で17.4%。「0日(フルリモート)」の19.7%が続き、「月1日出社」も22.2%と低かった。出社頻度だけが転職理由とはならないだろうが、フルリモートのエンジニアの8割が「転職を検討していない」と答えたことは注目に値するだろう。
20代男性エンジニアのAさんは、コロナ中に職場がフルリモートOKになったのを機に、都内から札幌に引っ越してひとり暮らしを始めた。ところが会社は今年度から「週5日出社」に方針を変更。Aさんは毎日札幌市内のサテライトオフィスに「出社」している。
同じチームの同僚たちは以前と同様、都内のオフィスで楽しそうに働いており、Aさんはその様子をテレビ会議で見ながら不満が募っているという。
「会社が永続的にリモートワークにすると言ったから、私も地方に引っ越したんですが、裏切られた気持ちですね。でも札幌はいいところなのでとても気に入ったし、いまさら東京に戻る気はないので、フルリモートでできる仕事に転職しようと考えています」
四国地方に住む30代の男性エンジニアのBさんは都内の職場を辞め、フルリモートで働ける会社に転職した。前職ではコロナ禍の真っ只中でも出社を強制しており、嫌気が差してしまった。いまでは何の問題もなく、実家で仕事をしている。
「新入社員が仕事に慣れるためとか、重要なプロジェクトでコミュニケーションを密に取らなければならないとかであれば、出社の意味はありますよ。でも、眼の前にいないと管理職が管理できないという理由で出社させるのは無能すぎ。成果で評価できない会社では、ITエンジニアは働けませんよ」