最大2万円のポイントが付与された「マイナポイント第2弾」。2023年9月30日に終了したはずなのに、「まだ、ポイントがもらえます」と、マイナポイント事務局をかたる「詐欺メール」にだまされる被害が急増している。
国民生活センターが10月11月27日、警鐘を鳴らす調査「マイナポイント事務局をかたる"詐欺メール"にご注意!-メールが届いたら詐欺を疑い、URLにはアクセスしないで」を発表した。
実に巧妙な手口に泣かない方法を調査担当者に聞いた。
すでにポイントを受け取ったが2回目があるのかと...
国民生活センターによると、こんな事例が代表的だ。
【事例1】マイナポイント事務局のメールと誤信して、クレジット番号を入力してしまった
スマートフォンにマイナポイント第2弾のお知らせメールが届き、本文に「マイナポイント事務局」との記載があった。すでにポイントを受け取っていたが、2回目のポイント付与があるのかと思いメール記載のサイトに移動して、個人情報、クレジットカード情報やそのパスワード、マイナンバー関連の情報を入力して送信してしまった。
後で気になってネットで調べたところ、詐欺メールだと気づき、クレジットカード会社に申し出てクレジットカードの番号は変更した。しかし、私はほかのクレジットカードも同じパスワードに設定にしているため不安だ。どのように対処したらよいか。(2023年10月・60歳代女性)
【事例2】「マイナポイントがもらえる」とメールで誘導され、個人情報を入力してしまった
パソコンに「マイナポイント第2弾提供に関して」という件名のメールが届いた。本文には「マイナポイント第2弾を実施」「最大2万円分のマイナポイントがもらえる」との記載があった。すでにポイントをもらっているが、さらにもらえるものだと思い、記載されたURLにアクセスした。
申し込み画面が表示されたので、名前、住所、電話番号、メールアドレス、任意のパスワードを入力したところ、次の画面でクレジットカード情報を求められた。この時点でおかしいと気づき、入力を中断し画面を閉じたが、今後どうしたらよいか。(2023年9月・70歳代男性)
「第2弾」終了前と後で、巧妙にメール文面を変える
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当した国民生活センター相談情報部の加藤良太さんに話を聞いた。
――マイナポイント事務局がかたる詐欺メールの相談は、どのくらいあるのですか。
加藤良太さん これまでに約400件近くあります。「第2弾マイナポイント」の申込の受付、ポイントの付与は、2022年6月30日から始まっていますが、被害の相談自体は、2023年4月ごろから毎月10件ほどのペースで来始めました。
それが、9月30日の「第2弾マイナポイント」の申込終了が近づくと、一気に増えました。9月に入って約100件、申込が終了した10月に約200件、11月も9日現在で数十件といったありさまです。
「第2弾マイナポイント」のポイントが付与されている期間と、申込が終了した後とでは、微妙に詐欺メールの文面を変えているのが特徴です。
――どういうことですか。
加藤さん ポイントが付与されている期間では、「2万円ポイントがまもなく失効します!」「締め切り間近! 2万円ポイントを有効活用しましょう!」と、締め切りが近いからと、せかす内容です。
ところが、申込が終了した後は、「この活動は10月末まで続きます。お早めの手続きをお願いします」「11月末まで続くことになりました。最大2万円ポイントもらえます!」と、少しずつ巧妙に変えて、気をそそっているのです。
「マイナ」は国の大事業、まさか詐欺とは思わない
――そんなことで引っかかる人がいるのですか。
加藤さん 実際に、クレジットカードが不正に使われる被害に遭い、払った覚えのない請求書が届いた人もいます。
これは私の推測ですが、普通の詐欺の誘導メールと違って、「第2弾マイナポイント」の付与は、国の事業として大々的に行われていること、また「マイナポイント事務局」という国の正式の機関を名乗っていることから、ふだん詐欺に気をつけている人でも警戒心が薄れてしまうのだと思います。
そして、実際に2度目のポイント付与を受け取った人が多くいますから、「期限が迫っています。お早目の手続きを」とせかされると、「まだ、やっているのか。ポイントがもったいない」と飛びついてしまうのでしょう。
――冷静さを失わせるよう、よく考えた手口ですね。防ぐにはどうしたらいいですか。
加藤さん 総務省のマイナポイント事務局が、メールでマイナポイント関連のサイトに誘導することは絶対にありませんから、頭から詐欺を疑ってください。メールに記載されたURLにアクセスすると、個人情報を抜き取られます。この手口はメールのほか、SNSでも使われています。
万が一、アクセスしてしまって不安になったら、国民生活センターのウェブサイトにある「消費者トラブルFAQ」にアクセスすれば、どうすればよいかわかります。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)