飼育している動物に勝手にエサをやっていた客がいたと、千葉県袖ケ浦市内の動物園「袖ヶ浦ふれあいどうぶつ縁」が、X(旧ツイッター)でマナー違反を訴えている。
よくないエサをたくさん食べれば、動物の命にも関わるという。どんな状況だったのか、動物園に取材して話を聞いた。
「お腹にガスがたまって死んじゃうこともあるのに・・・」
「また悲しいことがありました・・・」。どうぶつ縁では2023年11月6日、こんな書き出しで公式のXを更新し、次のように報告した。
「グレイスとみるみる親子のところに、ふだんの飼育では絶対にあげることがないパンがころがってました・・・ たくさん食べるとお腹にガスがたまって死んじゃうこともあるのに・・・」
投稿では、写真も添えられており、それを見ると、ヤギの親子の前にいるスタッフが噛み千切られたロールパンを手にしている。
「縁では主食になる乾草もいっぱいあるなかからよーーーく吟味して一番良いものを動物たちに食べてもらってます」
「いつも良い物を食べてもらってても、身体に良くない物をあげられると全部がだいなしになっちゃいます・・・」
そのうえで、「ごく一部のかただとおもいますが・・・ お願いします 動物たちに持ち込みのえさをあげないでください」「縁にいる動物たちはみんな僕たちスタッフの家族です どうかお願いします」などと呼びかけている。
この投稿は、2万3000件以上の「いいね」が押されており、一部客のマナー違反に嘆く声が上がっている。
どうぶつ縁の縁長の國立路加さん(47)は8日、ロールパンは6日15時半~16時ごろにヤギ親子のいるスペースに転がっていたと、J-CASTニュースの取材に答えた。
「エサの持ち込みはご遠慮ください」と貼り紙があったが...
「バターロールパンのようなものが2つありました。1つは、半分食べ終わっており、もう1つは、一口だけ口を付けていました。ヤギがちょっと食べかけたのだと思います。ただ、美味しくなかったようで、興味を失っている状態でしたね」
國立さんによると、ヤギがパンを食べれば、1つ目の胃で異常発酵し、ガスがたまってお腹がパンパンになる鼓脹症になる恐れがある。牛のように、一度飲み込んだ食べ物を再び口の中に戻して嚙み砕く反すう動物に見られる症状だという。
この症状になると、他の物が食べられなくなり、命に関わってしまう。幸い、ヤギの親子は、お腹が膨れておらず体調はいいと、國立さんは明かした。
どうぶつ縁では、キャベツやニンジンなどのエサをバケツに入れて販売しており、入り口など数か所に、「エサの持ち込みはご遠慮ください」と貼り紙が出されている。
それでも、一部にマナーを守らない客がいるという。
22年8月は、腐りかけて黒くなったニンジンをエサにやる客が出て、どうぶつ縁の公式Xで「少し悲しいことがありました・・・」と報告し、こうした行為は許せないと訴えていた。
「その後も、野菜の持ち込みは、月に1、2回ほど見つけることがありました。今回のパン持ち込みは、反すう動物によくありませんので、再度投稿することにしました。動物の飼料が高騰して大変な中で、切り詰めて干し草などを与えています。惜しげもなくエサをやっても、すべてが台なしになってしまいますので、持ち込まないよう本当にお願いしたいです」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)