就職人気ランキングに「メーカー」が返り咲く時代は来るか AI時代の「下剋上」に期待

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生成AIで「日本の製造部門が最大の貢献者に」

   報酬面でも、現状のメーカーは魅力的とはいえない。「令和4年賃金構造基本統計調査」(2023年3月公開)によると、30~34歳の男性の平均賃金が最も高かったのは「金融業、保険業」で387.2万円だった。

   次いで「情報通信業」の353.1万円、「学術研究、専門・技術サービス業」の350.8万円、「電気・ガス・熱供給・水道業」の347.0万円が続く。総合商社は「卸売業、小売業」に含まれているはずだが、小売と合算されていることもあり295.6万円と低い。

   「製造業」はそれをさらに下回る273.3万円で、「運輸業、郵便業」の275.5万円や「宿泊業、飲食サービス業」の280.7万円よりも低い。「金融業、保険業」と比べると100万円以上も少ない賃金である。

   そんなメーカーの人気が将来、商社や金融を上回ることがあるのだろうか。眼の前にある未来として考えられるのはAI、人工知能だ。

   米Access Partnershipの2023年6月のレポートは、「生成AI」が日本で生み出す可能性のある生産能力は、2022年の日本のGDP(国内総生産)の4分の1に相当する148.7兆円(1.1兆米ドル)規模になると試算。日本におけるAIの可能性について、次のように述べている。

「日本の製造部門は、生成AIによる経済全体の利益への最大の貢献者となることも考えられます。その主な理由は、製造部門が日本の労働者の大部分を構成し、高い労働生産性の要因となっているためです」

   AI時代には人間の仕事はコンピュータに奪われるとイメージしがちだが、このレポートでは「生成 AIは、(人間の)仕事を完全に奪うものではなく、仕事における焦点を変えるものとなるはず」と指摘する。

   AIによって自動化される業務だけでなく、人間がAIを使って仕事の生産性を上げる使い方も増えるということだろう。人手不足が深刻化する中で、AIが製造業をまったく新しい業態に変えてしまうとき、就職人気ランキングの順位に変動が起こるのかもしれない。

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